玄関スロープに猫の足跡がつけられる「肉球スタンプ」が話題 "脱はんこ"へ…愛知県の老舗店

渡辺 晴子 渡辺 晴子

とあるはんこ屋さんが制作した「猫の足跡(肉球)スタンプ」がTwitterで大きな話題を呼びました。11万超の「いいね」が付いたほか、「欲しい!!」「かわいいアイディア」「遊び心に溢れている…!」などと制作したはんこ屋さんを称賛するたくさんのコメントが寄せられています。

実は、この「猫の足跡スタンプ」。書類などの紙に捺(お)すのではなく、コンクリートの道に原料のセメントなどが固まる前に捺して“猫の足跡”模様をつけるというもの。なぜはんこ屋さんが「猫の足跡スタンプ」を作ったのでしょうか? 制作した愛知県岡崎市にある「小野印房」の4代目社長・小野洋平さんにお話を伺いました。

明治31年創業のはんこ屋さん、お客さんの注文を受けて・・・猫の"肉球"スタンプ制作へ

「小野印房」は、明治31年創業という地元では歴史と伝統のある老舗のはんこ屋さんです。小野さんによると、今年春ごろ、猫が大好きなお客さんから玄関前のリフォーム工事に伴って「猫の足跡が付いた道を作りたい」とのことで、猫の肉球をかたどったスタンプの注文が入りました。

「お客さまは、以前からお住まいの敷地内に猫の足跡を付けたいと思っていたそうですが、どこに相談したらいいか困っていたと伺いました。たまたま弊社が猫のイラストなどが入ったはんこを作っていたこともあり、ご相談をいただいたんです」と小野さん。「そこで、肉球の部分を紙粘土などを使えばできるかなと思いまして。納期も先だったことやコロナの自粛期間中でお店が暇になっていたこともあり、お引き受けしました」と話します。

いろいろな大きさの肉球型はんこを試作、改良を重ねる 「スタンプの"肉球"は固い(笑)」

それから、いろいろな大きさの猫の肉球型はんこを試作をするなどして改良を重ねたとのこと。肉球の部分は紙粘土などで作り、ピンク色のスプレーで色付けたといいます。苦労したところは「イラストで描くのとは違って、立体的に肉球の形を作るのは難しかったです。うちも猫を飼っていますので、猫の肉球を見慣れているつもりではあったのですが・・・」と小野さん。「実際、猫ちゃんの肉球はぷよぷよしてますが、スタンプの肉球は固いです(笑)」。

最終的に完成したものは、台座の跡が付かないようにダボ(小さな円筒形の棒)を使って肉球部分を浮かした形にしたといいます。そして11月に入り、お客さんの玄関前には「猫の足跡」が施された道が見事に完成。あまりにも感動した小野さんは「こんなに上手くいくなんて!」などと写真を添えてツイートしたそうです。すると、「作ってほしい」などと「猫の足跡スタンプ」を求める声が多数寄せられたため、急きょオーダーページを作ったとのこと。現在、50件ほどの注文を受けているといいます。

   ◇   ◇

今回「猫の足跡(肉球)スタンプ」を制作された小野さんは、ご自宅に3匹の猫ちゃんを飼っています。ハチワレ雌猫のナナちゃん(5歳くらい)、同じくハチワレ雄猫のサンタくん(13歳くらい)、そしてシマ三毛?雌猫のスリちゃん(8歳くらい)。ときどき「小野印房」さんのTwitterに登場しているそうです。

猫好きが高じて、猫のイラスト入りはんこも制作 その数80種類以上!

また、猫好きが高じて、猫のイラストが入ったはんこを制作したのは6年ほど前からとのこと。現在80種類以上もあるといいます。最近は、河野太郎行政改革担当相が進めている行政手続きでの「押印廃止」の動きについて注目しているという小野さんは「河野さんはそういう意図はないのかもしれませんが、世間からはんこが悪者のイメージになっちゃうのは嫌だなと思います」。とはいうものの、「時代の流れだと受け止めて、はんこ屋も変わらないといけないと感じています。これからも新しい用途に活路を見出していきたいです」と言い、前向きに捉えているそうです。

「猫の足跡スタンプ」は、縦35㎜、横40㎜の立体(大きさの指定もある程度可)。手作りのため、制作に2~3週間かかるとのこと。また、わんちゃん足跡もオーダーできます。詳しくはTwitterのダイレクトメール(DM)あるいはメール(yono@ono-inbo.jp)などでお問い合わせください。

■「猫の足跡スタンプ」オーダーページ(HP)

http://ono-inbo.shop-pro.jp/?pid=155500218

■Twitter:「小野印房@ハンコーンMkⅣ計画始動」(@ONO_INBOU)

https://twitter.com/ONO_INBOU

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