「アツイノイケルシランケド」「タキビバブデブー」「ヨクミルヤーツ」…。自由すぎる、いや斜め上を独走するネーミングのキャンプ用品ブランドが話題です。「ハンペンインザスカイ、車から持ってきて~」「ギンノタラコもお願~い」。ユーザー以外には絶対に通じないであろうネーミングセンスがキャンプシーンを変える…かも。
このブランドは、大阪にあるビーズ株式会社が展開する「DOD」。2017年までは、「DOPPELGANGER OUTDOOR(ドッペルギャンガー・アウトドア)」という硬派イメージのブランド名で展開しており、商品名も他にもありがちな名称だったそうですが、「これでは消費者に覚えてもらえない」と発想を180度転換。現在、同社サイトには、オリジナリティーあふれる商品名がこれでもかと並んでいます。
一部の商品名を記者が勝手に分類したところ、▽見た目系=キノコテント、タケノコテント、カマボコテント、ビートルくん ▽機能系=スゴイッス、ジミニーテーブル ▽コンセプト系=ショウネンテント…までは何とか想像できますが、ヨクミルヤーツ、となりのまきちゃんとなると、もはやお手上げ。極めつけはソロソウルウォウウォウ…って、なんじゃこりゃ。同社広報担当の棚村藍さんに聞きました。
──きっかけは2016年のカマボコテントだったとか。
「カマボコテントが登場する前はプレミアムワンタッチテントやウルトラライトチェアなどアウトドア業界でよくありそうな名前でした。他社さんの製品と似たような名前だと、消費者側も覚えにくいのでは?と思ったことがきかっけです。実は社内でも間違えることが多々あったので、もっと覚えやすい名前でかつ子どもにも馴染んでもらえる名前にしました」
──にしても、商品目が個性的過ぎてキラキラしています。皆さんが会議で意見を交わしているのですか。「カマボコテントでは上が納得しません!」とか。
「まず企画開発者が候補の名前を提案し、その後社内のチャットシステムなどで大喜利のような流れでどんどん決まっていきます。即決もあれば、難航する場合もあります。一度決まった後も『長すぎる』『意味が分からない』などとダメだしが出ることもあります。社員1人がひとつぐらいは、自分がつけた名前がきっとあるかと思います」
──では棚村さんも…
「はい!私はレンコンテントを命名しました。製品を見たときにふと上からみたらレンコンの断面に見えるのではと思ったことがきっかけです」
──数ある中でも一押しのネーミングは。
「やはりレンコンテントは外せません(笑)。先日発売したアツイノイケルシランケドというグローブもデザインと合わせて頭に残る名前です。熱くても持てるけど、個人によって熱さの感じ方に違いがあるといった焚き火系グローブあるあるを『知らんけど』の関西テイストでまとめることができたのが良かったと思います。商品名効果からかおかげさまで完売しました!」
──取引相手の反応が見てみたいです。
「お店に卸す際に当初はバイヤーさんから『どういう製品ですか?』と問い合わせがありましたが、今はもう慣れていただいて、なんとなく想像してくださるので助かっております」
──ユーザーの反応はいかがですか。
「消費者の方に記憶にはかなり残っていると思います。『ハンペンインザスカイ取ってきて』など覚えやすい名前なので、お子さんがお手伝いをしてくれるとよく聞きます。率先して参加してくれるそうです。SNS上では製品名でつながって交流も生まれています」