豊田真由子が解説、新型コロナの現状を総まとめ 世界は?日本は?私たちができること

「明けない夜はない」~前向きに正しくおそれましょう

豊田 真由子 豊田 真由子

元厚労省官僚、元衆議院議員・豊田真由子が世界で再拡大している新型コロナの感染状況、ワクチン開発の進捗についてユーザーからの質問に答えた。今後、私たちがどんなことに注意して暮らしていけばいいのか、が見えてくる。

Q.世界では、新型コロナ感染が再拡大しているって、ほんと?

A.はい。

日本では、少し落ち着いてきたように見えますが、残念ながら、9月20日までの1週間に、世界全体で計199万8897人の新規感染者が報告され、これは、新型コロナウイルス感染症のパンデミックが始まって以来、1週間の新規感染者数としては最多です。(WHO発表:9月21日)世界の累計感染者数は、約3148万人、死者数は96万9千人となっています。(日本時間9月23日午後12時時点。米ジョンズ・ホプキンス大学集計)国別に見ると、累計感染者数は、米国690万人、インド556万人、ブラジル456万人、ロシア111 万人、死者数は、米国20.1万人、ブラジル13.7万人、インド8.9万人、メキシコ7.4万人等となっています。

感染が続いている米国、インド、ブラジル等に加えて、いったん感染が落ち着いた欧州でも、感染が再拡大し、一部地域で対策が強化されています。フランスやスペインでは、平均して1日に約1万人の感染者が確認される日が続いています。

9月21日、スペインでは首都マドリードの一部で外出制限を再開し、通勤・通学などの理由以外での外出を原則禁じるほか、商店も、薬局などを除き午後10時に全て閉めることとされました。

フランスでは、新たに中部リヨンと南部トゥールーズで、集会の上限を5千人から千人にしたほか、リヨンでは夜間のアルコール類販売を禁止し、トゥールーズは飲食店の営業時間制限を厳しくしました。英国は、欧州で新型コロナの死者数が最多の4万2千人近くに達しており、9月22日に飲食店の深夜営業禁止などの規制の再強化策を発表しました。イスラエルやオーストラリアのメルボルンでは、ロックダウンが行われています。

各地での感染再拡大の原因については、バカンスで人の移動が増えたことや、出入国規制の緩和(EU内は移動は原則自由)、人々に危機が去ったとの気の緩みがあった等と指摘されています。

Q.日本は大丈夫なの?

A.新型ウイルスの感染の波は、どの国でもどの地域でも、大きい波も小さい波も、繰り返し、何度もやってくる可能性があります。そういうものだと思って、覚悟と(よい意味での)諦めを持つと、慌てず驚かず、日常を送ることができるのではないでしょうか。

そして、状況を見極めながら、①感染拡大を防ぐこと、②社会・経済を回していくこと、この両者のバランスを取りながら、やっていくしかありません。

私たちは、リアルな世界を生きています。閉じ籠り続けていることはできません。生命と健康を守りながら、社会生活や経済活動を行っていくためには、政府や自治体の対策とともに、国民一人ひとりの心持ちと行動が極めて重要です。

「(社会や経済活動を再開して)感染が拡大したら、一体どうするんだ!」VS「(自粛などで)経済が悪化していくことを、一体どうするんだ!」

―この議論は不毛です。両方、どうにかするしかないですよね。私たちは、この世界を生きていかねばならないのですから。

帝国データバンクによると、「新型コロナウイルス関連倒産」(法人と個人事業主)は、全国に537件(9月18日16時現在)で、そのうち、法的整理が458件(破産427件、民事再生法31件)、事業停止が77件です。業種別上位は「飲食店」(77件)、「ホテル・旅館」(55件)、「アパレル・雑貨小売店」(36件)、「建設・工事業」(34件)、「食品卸」(32件)、「アパレル卸」(21件)等とされています。自主的に廃業された事業者や、事業は存続していても、従業員の方が、失業・休職・内定取り消しなどの状態にあるケースも多くあります。

この4連休は、各行楽地が大変混雑したようです。これまで、GWやお盆等も含め、新型コロナで長期間自粛をしていた皆さんが、ようやく、という思いで出かけられたのだと思います。人間は、余暇を楽しみ、陽の光を浴び、リフレッシュすることで、仕事・学校・家庭等をがんばろう、と思えるものです。感染防止策を講じながら、身体の健康とともに、心の健康も、維持していくことが必要です。

政府のGoToトラベル事業は、9月14日時点で2万2138の宿泊事業者が参加し、登録率は63%となり、利用者数は、8月末の時点で延べ1339万人でした。利用は着実に伸び、観光事業者に一定の需要が戻っているように見えますが、今後の先行きを見極めなければいけないことと、現時点の問題点としては、高額の旅行商品に利用が偏り、低価格の旅館や高速バス事業者などに、十分に恩恵が行き渡っていないとも言われます。

また、政府は10月初めにも、全世界からの新規入国の受け入れを一部再開する方向です。

ビジネス目的のみならず、医療、教育、文化活動などの3カ月以上の中長期の滞在者を主な対象とし、観光客は除外する予定です。出入国時の検査で陰性を確認することや入国後2週間待機などの条件を課し、入国枠も最大「1日1千人」程度に絞ること等が検討されています。

あれをやっちゃダメ、これもやっちゃダメ、ではなく、感染を防止するためにできることを皆で最大限行いながら、何とかやれるように考える。そして、状況に応じて、緩めたルールを再び厳しくすること等含め、柔軟に対応する。

新興感染症のパンデミックの中で暮らしていくには、これしかないのだと、思います。

まいどなの求人情報

求人情報一覧へ

おすすめニュース

気になるキーワード

新着ニュース