不慮の死続く芸能界 1人で抱えこまずに相談を、弁護士が他業士と連携し解決の糸口模索

平松 まゆき 平松 まゆき
悩みは一人で抱え込まずに、まずは相談を=画像はイメージです(yamasan/stock.adobe.com)
悩みは一人で抱え込まずに、まずは相談を=画像はイメージです(yamasan/stock.adobe.com)

 芸能人の不慮の死が続いている。自死とみられるケースもあり、周囲が受けた衝撃は計り知れない。死を選んだ理由は本人にしか分からず、近しい人や応援してきたファンは「いったいなぜ」との思いがつきまとう。取り返しのつかない決断をする前に、なんとかして防ぐ手だてはないのか。かつて歌手デビューも果たした平松まゆき弁護士に、法的支援などについて解説してもらった。

 我が国における自殺者は、2012年以降は3万人を下回っているものの、諸外国に比較すると依然高いままです。

 我が国の自殺の動機・原因としては、負債、生活苦、失業等の経済・生活問題が多いと言われています。しかしこうした経済・生活問題の多くは破産や再生、生活保護、公的貸付、労働事件化等を通じて、弁護士等の専門家の手によって十分に解決可能なものです。以前私のところにも自殺未遂を経験したという多重債務の方がいらっしゃったのですが、その債務の多くが時効処理や債務整理で解決可能なものでした。

 何故もっと早く我々に相談しなかったのかと尋ねると「自分が作った借金のことで弁護士を訪ねたら、説教されると思っていた」と言われました。この仕事の敷居の高さを痛切に感じた瞬間でした。

 もちろん自殺の動機・原因は、お金のこと以外にも様々であり、ひとくくりにはできません。恋愛、家族、学校、性、病気等、要因は1つではないこともあるでしょうし、いろんなプロセスが積み重なっていることもあるでしょう。芸能人であろうと一般人であろうと、一人では抱えきれない状態になっていることは間違いありません。

 こうした一見、弁護士の仕事とは関係のないお悩みについても、弁護士が持つネットワークにより他の機関を紹介することによって解決への手助けをすることはできます。

 また、少しでも話しやすい環境を整えるべく、臨床心理士と同席で相談を聞くこともあります。我々は法的問題を解決するための面談は数をこなしていても、心理的問題を抱えた方に対する発問の仕方を学んだプロではありません。そこで他業士の手を借りながら、一緒にできることを模索しています。

 ちょうど9月は政府が「自殺予防週間」と定め、対策を進めている月間です。各都道府県の弁護士連合会でも一斉に「暮らしとこころの相談会」を実施しています。

 すでに実施期間を過ぎている場合でも、個別に対応できる場合もありますから、お一人で悩まずぜひお近くの弁護士会へ連絡してみてください。

 ※「暮らしとこころの相談会」実施一覧は以下のアドレスを参照
https://www.nichibenren.or.jp/library/pdf/event/year/2020/event_200910_2.pdf

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