1947(昭和22)年創業、東京・上野の総合ディスカウント店「多慶屋(たけや)」が8月10日から始めたキャンペーンにネット上がざわついています。マスクを着用した店内スタッフ全員の口元がめっちゃ笑ってるんです。透けるマスクじゃないのに、白マスクなのに、なぜ!? 同社に電話で話を聞きました。
最初はマジックで手描き
スマイルマスクの誕生は、同店インテリア売り場の男性社員のひと言がきっかけでした。
「コロナでマスクが当たり前になり、接客の時に笑顔の口元が隠れてしまう」。
何とか笑顔を届けられないかと若手スタッフが集まり議論。当初はマスクの表面にマジックで口を手描きしましたが、衛生面などから断念。そこで思い出したのが布製品への写真印刷サービスでした。白い歯の見える笑った口元をマスクに印刷し、着用したらあら不思議。“いつでもスマイル”の完成です。役員からも即ゴーサインが出て、全社挙げての「スマイルキャンペーン」がスタートしました。
「一緒に写真撮っていいですか」
ツイッター上には、<店内で見てビビった><行ってみたい><怖すぎる><最高>とさまざまな反応がつぶやかれています。スタート前には従業員からも「リアル過ぎて怖がられないか」と不安の声もあったそう。しかし始めてみると「いい取り組みだね」と声を掛けられることも増えたといいます。「一緒に写真撮っていいですか」と記念撮影を求める買い物客もいたというから反応は上々のようです。
口元モデルはスタッフ2人
マスクの種類は男性用と女性用の2種類のみ。いずれもモデルを務めるのは同社スタッフです。同僚たちが皆、自分の口をつけているというのはどんな気持ちなんでしょうか。モデルとなった男性社員に話を聞くと、「私の口をつけた社長が店内を歩く姿を見たときは、思わず笑ってしまいました」。内輪でもマスクの下で笑顔が生まれたと成功を喜びます。
「マスクで表情が暗くなりがちな今、スマイルマスクで1人でも多くの方が笑顔になることを願っています」(同社担当者)
洗い替え用に1人2枚ずつ、全従業員約450人分900枚作成。店頭業務以外の事務方スタッフも全員着用。キャンペーンは10月31日までの予定。