来年こそは煩悩解脱!…無我の境地で「削仏プログラム」はいかが サクサクカリカリ…雑念を削ぎ落とす

山本 明 山本 明

 一年を振り返る年の瀬です。せわしない中、ふとすると、あの時ああすれば良かった?それとも…と年内の様々な後悔が押し寄せてくる時でもあります。来年こそは煩悩解脱、静かに内なる自分と向き合いたい…そんな人はフェリシモ(神戸)の、家で習い事シリーズ「ミニツク」から発売中の「スクラッチアート 削仏プログラム」はいかがでしょう。まず、黒いシートに描かれた下絵の仏さまの絵を、専用のペンでなぞって削ります。すると描線に沿って、美しい金銀のホログラムの仏さまの姿が次第にあらわれてきます。サクサク、カリカリ…筆先に意識を集中すればするほど雑念は晴れ、早い人なら20分足らずで尊い仏さまの姿絵が完成します。

 同プログラムはフェリシモ公式の社内部活「フェリシモおてらぶ」が企画開発。同部は今まで「プチ写仏プログラム」など、気軽に日常にお寺文化を取り入れられる商品を手がけてきました。今回のプログラムは6ヶ月間かけて、1月4枚ずつ、計24枚の削仏作品を制作。集中して削仏に取り組むことで、日ごろとらわれがちな心配や過去の悔やみからひとまず距離を置き、「今ここ」に意識をもどしていただこう、という目的があるといいます。

 また真言宗の現役僧侶であり、仏教美術専門店「多羅堂」(大阪)代表である杉山本學(すぎやま ほんがく)さんが監修したテキストも毎月セットに同封。人を苦しめがちな6つの煩悩に一つ一つ向き合っていくすべを説くお説法や、仏さまにまつわる雑学などをご紹介。さらなるお寺文化の深みに触れることができるよう、配慮されています。

 家庭に送られてくるセットの中には、削仏するための専用ペンのほか、完成した作品を飾れるディスプレイ額や、ひものお香もついてきます。削仏の作業をする際により集中できるようにとの心づかいです。ちなみに、ひもの形状をしたお香は日本では珍しいですが、ネパールではポピュラーだそう。このあたりからも異国文化の雰囲気が伝わってきます。

 「削仏」の手順は以下の通りです。

(1)まず平らな場所に下敷きとなる布や新聞紙などを敷く
(2)その上に好きなスクラッチアートシートを選ぶ。お香をセット
(3)シートの上に書かれた仏絵の線をスクラッチペンでなぞり、削る。筆先を寝かせるように滑らせると幅広の線を削ることができ、先端を立たせるように描画すると鋭く細く削ることができる
(4)削るにつて〝削りカス〟が出るので、その都度捨てて、完成
(5)台紙に貼りお部屋などに飾る

   ◇   ◇

 プログラム開発の経緯などについて担当者に聞きました。

―企画の経緯について教えてください。

「もともと、『プチ写仏』という仏さまの絵を筆ペンでなぞる商品があり、スキルアップやクラフト系が主流だったレッスンプログラム商品の中で、内観やリフレッシュを目的とした商品で話題となりました。時は過ぎてマインドフルネスなどがよく話題になり、大人のアート体験として、スクラッチアートは気持ちがすっきりするということで話題になりつつありました」

―そこで両者を融合させようと…。

「かねてより写仏企画の第2弾はという問い合わせも多数あり、スクラッチアートを組み合わせた新しいコンテンツとして企画に踏み切りました」

―監修されている杉山僧侶とのご縁は。

「もとは多羅堂オーナーの杉山さんが大阪で『仏像バー』を開いていたんです。そこにおてらぶとして取材に行ったのが出会いです。杉山さんはバーのマスターとして働いていましたが、れっきとした僧侶。悩みを抱える人がその悩みを吐き出す場所としてバーという場所を提供し、そこで話を聞き、生き方の手助けをしたいという想いで活動されていました」

―斬新ですね。

「はじめは面白スポット的なイメージで取材に伺ったのですが、そのような想いでお店を切り盛りされている杉山さんはすごいな、と思う一方、私と同じ仏像マニアだということで話題も合い、すぐに仲良くなりました。現在は僧侶のお仕事と、仏像が欲しいという人と国内外の仏像のご縁つなぎの仕事が多くなり、バーは閉じて仏像のギャラリーを運営されています」

―削仏を通して、向き合うべきものは…。

「煩悩です。煩悩があるから、人は苦しむ。生老病死はまさにそれ。そこを知ることで、生き方に向き合えるというのが杉山さんの考えですので、同封のテキストはある意味煩悩の話まみれです(笑)」

「レッスンで出てくる貪・瞋・痴・慢・疑・悪見という6つのテーマは人間の六大煩悩といいます。このすべてを知ることで対処できるレッスンですので、すべての煩悩を知っていただきたいですね」

―制作で苦労した点は。

「スクラッチアートの下絵つくりです。企画をスタートした時、実は世の中には仏像をテーマにしたスクラッチアートはたくさんありました。そのどれも日本の仏像を削り描くものでしたが、個人的にその完成品が本物の仏像とかけ離れている印象がありました。それはなぜだろう…と考えたのですが、華美な仕上がりになるという部分だったんです。もちろんスクラッチアートなので、削った部分がキラキラした下地が出てきます。が、日本の仏像は決してゴージャスではない(古きものを古いままにするのは日本ならでは、なのですが)」

―違和感があった、と。

「そこで、仏像を削り描くなら、本当にゴージャスなものを描きたいと思い杉山さんに相談したところ、いっそ、日本の仏像ではなくインドやチベット、ミャンマーなどの豪華絢爛な仏像を描いてみるのはどうだという話になりました。もともと、日本の仏教は、インドやチベットからやってきたもの。国内でなじみ深い仏さまたちは、かの地でも同じ名前でちゃんと存在します。しかし、そのお姿は全く違うのです。そういったルーツに迫っていく感じも、今までにない仏像系スクラッチアートになるのでは?と思いました」

   ◇   ◇

 なお全削仏修了者に向け、杉山僧侶は冊子中のテキストでこう語りかけます。「人間は誰しも煩悩を持っています。克服するにはやはり日々の修業が大事。しかし大げさな修業が立派な修業というわけではありません。千里の道も、悟りの道も一歩から。レッスンは今回でおしまいになりますが、これからも少しずつ仏教の知識や実践を日常に取り入れ、皆さまが日々を心豊かに暮らせるようになれば幸いです」

◆「削仏」プログラムの詳細はこちら https://www.felissimo.co.jp/shopping/I180782/I280783/GCD204566/

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