IKEA神戸でとある取材を終えて帰ろうとしたところ、1階のビストロの一角に、何やら様子のおかしい顔出しパネルが設置されているのに気がついた。「#イケアベジドッグ」というハッシュタグが添えられたホットドッグらしき食べ物の写真パネル。上部に大きめの穴がひとつと、小さめの穴がふたつあけられているが、明らかに「顔」とは関係のない部分である(そもそもホットドッグに顔はない)。折しも先日、ある学会の会場に飾られていた顔出しパネル(ただ漢字が書かれているだけ)が「顔出しの必要が感じられない」と話題になったばかり。なんなの?令和はこういうのが流行ってるの?
さっきまで取材対応してくれていたイケア・ジャパンの今井美樹さんをその場で呼び戻して確認したところ、6月6日から7月15日の日程で開催中の「プラントベースフード(植物性食品)フェア」にちなんだもので、このフードは肉を一切使っていない「ベジドッグ」というものらしい。3個の穴は、顔と両手を出すためだとか。「なんで顔と関係ないあんな場所に穴があいているんですか」と訊ねても、今井さんは「ああいうパネルは他にもいろいろありますよ」と涼しい顔だ。「ちなみに2階のイケアレストランにもありましたけど、気づきませんでしたか?ミートボールの顔出しパネル」。き、気づかなかった!!!
急いで2階のレストランに行くと、確かにある!皿に盛られたミートボールの巨大な写真パネル!そのミートボール4個分に穴があいていて、それぞれ顔を出せるようになっている!その愉快なビジュアルもさることながら、個人的には、地元の人間としてこれまで何年も通っていたというのに、今の今まで全く意識したことがなかったことにも衝撃を受けた。
すると、追い打ちをかけるように、今井さんがさらに衝撃的なことを口にした。
「これを発案したのは私です」。な…なんやて…。
聞けば、2008年にIKEA神戸が開業した当初、スウェーデン発祥の店だということを広く知ってもらおうと考えた今井さんがアイデアを出し、制作したのだという。「スウェーデンといえばミートボール、そして国旗があればわかりやすいでしょう」と今井さん。「InstagramなどのSNSが浸透したことで、こういう顔出しパネルはますます大人気です。インスタ映えなんて言葉がない時代から置いているこのミートボールのパネルも、いまだに多くの人が喜んで写真を撮る。人気が再燃しかねない勢いです」
実はIKEAには、これ以外にも様々な顔出しパネルが用意されており、季節ごとに入れ代わり立ち代わり現れるらしい。その中にはやはり、「顔とは関係ない場所」に穴があいているものもあるようだ。これからは、もう少し注意深く店内を回ることにしよう。私は今、「顔とは関係ない場所に穴があいた顔出しパネル」が気になって仕方がない。何か情報をお持ちの方は教えてください。