元刑事・小川泰平 悲劇を防ぐための実戦的「防犯対策6カ条」子ども目線がポイント

小川 泰平 小川 泰平
民家の門に掲げられた「こども110番の家」の掲示板。日頃から子どもたちと声を掛け合うことが重要だ(撮影・小川泰平)
民家の門に掲げられた「こども110番の家」の掲示板。日頃から子どもたちと声を掛け合うことが重要だ(撮影・小川泰平)

 新潟小2女児殺人事件以降、全国の地域共同体などで改めて「子どもの見守り」への防犯意識が高まりつつある。“実戦”として通用する子どもの防犯対策について、元神奈川県警刑事で犯罪ジャーナリストの小川泰平氏が専門家の目から6項目に分けて解説した。

   ◆  ◆

(1)防犯ブザー

 2017年10月25日、東京都大田区内で20歳の容疑者が小学2年生の女児に声をかけて車で連れ去れ去ろうとした事件がありましたが、女児が持っていた防犯ブザーを鳴らしたところ、容疑者は現場から逃走。その後に未成年者誘拐未遂の容疑で逮捕されています。

 防犯ブザーは子どもさんと一緒に買いに行き、子どもが実際に使いやすいものを選んでください。大人には小さいぐらいが子どもの手にはちょうどよかったりします。ランドセルに装着できるものもあります。使いやすさとブザーの音が重要で、音は90dB以上のものをお勧めします。

 もう1つ大事なことは、防犯ブザーの音を止めるところが簡単には分からないものを選ぶことです。犯人が音を止めるのに戸惑って逃げるからです。

 (2)道のり再検証

 日常的に通っている通学路をもう一度見直してみて下さい。登下校の道順を変更するという意味ではなく、子どもの目線で、危険な場所や地点、死角がないか、一緒に話しながら歩いて下さい。子どもにも防犯意識が高まります。実際に危ないと考えられる場所が見つかれば、遠慮なく学校の先生、地域の役員さん等に話して情報共有し、警察や見守り隊の方に警戒してもらうこともできます。

 (3)「こども110番」の活用

 通学路で「こども110番」のステッカーや看板を見かけると思います。子どものための緊急避難所設置の取り組み、その取り組みによって設置された避難所のことですが、イザという時に子どもたちが本当に逃げ込めると思っていますか?

 なかなか難しい話です。そこで地域の方々にお願いがあります。

 例えば月に1、2回でも、登下校の時間に自宅前を掃除するとかして、子どもたちに顔を見せてあげて下さい。実際に顔を合わせ、あいさつすることによって「こんなおばさんが住んでいるんだ!」「こんなおじいちゃんの家なんだ!」と分かり、緊急時に助けを求めやすくなります。

 (4)逃げるのは車の反対方向

 見知らぬ人(犯人)が車から声をかけてきた場合、車の進行方向に逃げても、つけて来られたり、追いつかれる可能性があります。怖いと思ったら、車の反対方向に逃げ出すこと。一見簡単そうですが、これは1度は訓練をしないと難しい。

 (5)火事だ~!

 怖いと思ったら大声で助けを呼ぶことです。しかし、とっさの時には大人でも難しいものです。「キャー、助けてー」ではなく、「火事だ~」が有効だと思います。事件で「助けて~」と悲鳴を聞いても、怖くて見に行けない人がほとんどです。「助けて~」より「火事だ~」の方がスムーズに大声が出せると思います。実際に練習してみて下さい。

(6)振り返って二度見!

 普段の生活の中で「あの人、近所で見ない顔だな」と思う場面に出くわすことがあると思います。でも、なかなか声はかけられないですよね。その場合は振り返って二度見して下さい。相手が犯罪者であった場合等は、顔を見られてしまったと思い、犯罪の抑止力に大きな力を発揮します。

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