だが、今ではその描写自体がNGになりつつある。殴る者の心情以前に、行為そのものが問題視されるのだ。
松村は「W杯でラグビーが盛り上がっても、ドラマはそうでもないようです。生徒を殴る場面がコンプライアンス的にまずくて、あまり大々的に映像を流せないからです。山下真司さんが登場した秩父宮ラグビー場のイベントでは、流す予定だった映像が前日にキャンセルになった。『教育の一環とはいえ、生徒を殴るとはまかりならん』という理由で、企画が通らなかったそうです」と明かす。
90年代以降も地上波で何度も再放送され、今年1月25日からはCSのTBSチャンネル2で放送。時を経ても色あせない名作であることは確かなのだが、スポーツ界での体罰が問題視される時代、地上波では再放送が難しい状況になっている。
松村は「きわきわのところまでいかないと人間の何たるかは見えてこない。先生も聖人君子じゃない。今は選手の自主性を尊重する時代になってきましたが、そこに持って行くためにも滝沢先生的なハートと行動力を持ち、精神的支柱となる指導者が必要」と思いを吐露。「ノーサイドの精神、ワンフォーオール・オールフォーワン。正月のラクビーは夢中になって見ています」。骨の髄までラグビーに魅せられていた。