ツイッターで投稿した工作が、11万を超えるリツイート、35万を超えるいいねを獲得し、話題となっているお菓子の空箱作品。制作したのは「空箱職人 はるきる」という名で活動中の、「神戸芸術工科大学」(神戸市西区)3年生の河口晴季さん。学校の作業机で制作中のはるきるさんに話を聞いた。
「プリングルス」を1人の紳士に、「トッポ」を空中都市に、「アーモンドチョコレート」を馬に乗った騎士に、「コアラのマーチ」をマーチングバンド姿のコアラに・・・と、お菓子の空箱を使用し、さまざまな立体物に変身させた作品で大きな注目を集めてきたはるきるさん。「一体どんな設計図を・・・?」と尋ねると、全作品、設計図は書かずにいきなりハサミを入れて作っていくというから驚きだ。
「プリングルスは『お調子者かな』とか、それぞれの性格をイメージしながら作っていきました。設計図は頭のなかで書いているので、暗算するみたいな感覚。空間認識能力みたいなものには自信がありますね」と話す。
筒のパッケージを薄く剥がして服のシワを細かく再現。靴のひも、胸ポケットのハンカチ、指の関節といった細部まで作り込まれている。ベストの赤は円柱の上蓋部分を使うなど、プリングルスの空箱のほか、ハサミ、瞬間接着剤、セロテープといった簡単な道具のみで1人の紳士が誕生した。
もともと、幼少期から紙工作が大好きだったというはるきるさん。「NHKの『つくってあそぼ』という番組で、わくわくさんがいろんなものを作るのを、幼稚園のときに毎日楽しみにしていました。あと戦隊モノが好きで、ヒーローが使う剣とか武器を自分で作ったり・・・昔からそういうのが得意だったんだと思います」。
同大学のアートクラフト学科でも紙工作を学ぶなか、お菓子の空箱を使うきっかけとなったのは、2017年頃に一時期SNSで流行した「明治ザ・チョコレート」。パッケージに好きなイラストを描くというブームだったが、自分だったらイラストではなく立体にできる、と制作。それがツイッターで反響を呼び、それ以降、お菓子の空箱での工作を始めたという。
「『ムーンライト』の空箱を使った最新の作品『月明かりの時計塔』は、クッキーが月明かりに見えるので、そのまま月にしようと。アルフォートだと、チョコの部分に船が書いてあるので飛行船にしてみたり・・・。商品のイメージを崩さないことと、ロゴやマークをちゃんと見せるということにこだわって作っています」。
作品を投稿するたびにSNSでは大きな反響が寄せられるが、「見てもらえる人が増えたのは、制作者として励みになるし、うれしいです。より多くの人に共感してもらわないと意味がないので、わかりやすく伝えることを常に意識しています」。
今後もどんどん空箱工作を増やし、2019年中にはYouTubeなどで作り方動画なども公開したい、と意気込むはるきるさん。現在はある企業からの作品制作の依頼もあり、5月には神戸で個展も開く予定。今後どんなワクワクする作品を生みだすのか、期待は募るばかりだ。