【PR】プッチーニ永遠の名作「ラ・ボエーム」 兵庫の芸文センターで佐渡裕プロデュースオペラ7月15日スタート 佐渡さん意気込み語る

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簡易的に組まれた船のセットで、気の置けない仲間とのやりとりを楽しみながら、軽快なピアノ伴奏に合わせて歌う男たち。その力強い歌声は、マスク越しでも部屋いっぱいに朗々と響きます。

2022年6月中旬。東京都内のスタジオで、兵庫県立芸術文化センター(芸文センター)の「佐渡裕芸術監督プロデュースオペラ2022 歌劇『ラ・ボエーム』」の稽古が行われていました。ウィーンから帰国したばかりの佐渡さんも合流し、キャストの輪に加わってステージ上での動きや表情などを念入りに打ち合わせ。キャストたちの歌声の感触を確かめるように目を閉じて指揮棒を振り、何度も頷いたり笑顔を見せたりしていました。

永遠の名作と称されるオペラ「ラ・ボエーム」

「ラ・ボエーム」は、19世紀前半のパリに集ったボヘミアン(定職を持たない若き芸術家たち)の愛と青春を甘美な旋律で紡ぐ、プッチーニ(1858〜1924年)作曲のイタリア・オペラです。プッチーニも自身の若き頃を重ね合わせたといわれる物語で、「冷たい手を」「私の名前はミミ」「私が街を歩けば」などの名曲とともに、初演から100年以上経った今もなお世界中で最も愛されるオペラのひとつとして知られています。

芸文センターでは2020年夏に上演する予定でしたが、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて延期に。そして2022年7月、2年前と同じキャスト、スタッフが再び集まり、全8公演を行うことになりました。

演出は世界的デザイナーのダンテ・フェレッティ氏

稽古場には、演出、装置、衣装を担当するダンテ・フェレッティ氏による舞台装置のデザイン画やミニチュア、衣装のイメージなども掲示されていました。フェレッティ氏は映画「アビエイター」(マーティン・スコセッシ監督、2004年)などで米アカデミー賞美術賞に3度輝いているイタリア出身のデザイナー。100年以上にわたって演じ継がれてきた永遠の名作「ラ・ボエーム」の世界に、新たな命を吹き込みます。

キャストはイタリアでオーディションを行い、ヨーロッパで活躍する期待の若手たちを選抜。旬の歌手たちが、若さゆえのエネルギーと儚さを鮮やかに表現します。日本人歌手は、ミミ役の砂川涼子さんやロドルフォ役の笛田博昭さんら、「この役といえばこの人」という決定版の配役が実現。髙田智宏さん、平野和さんら海外の第一線で活躍する歌手たちのアンサンブルにも期待が高まります。

7月15日から始まる公演を前に、芸文センターの芸術監督で指揮の佐渡さん、そして出演する髙田さん(マルチェッロ役)、平野さん(コッリーネ役)が意気込みを語ってくれました。

佐渡裕さん「譜面を見ているだけで泣ける」

「ラ・ボエーム」は、クリスマスのパリを舞台に、貧しいながらも夢を追って自由に生きる芸術家たちを描いたロマンチックな物語です。音楽も華やかですごくかっこいいですよ。楽器の組み合わせ、オーケストレーションも素晴らしい。最後は主人公のミミという女の子が亡くなるのですが、僕は譜面を見ているだけで泣けてきてしまうんです。プッチーニは本当にすごい。オペラの魅力がぎゅうぎゅうに詰まった、傑作中の傑作だと思います。

本来は2020年の夏に上演するはずでしたが、コロナ禍を受けてできなくなりました。本当にショックでしたね。プロデュースオペラは芸文センターの「看板商品」ですし、地域の人たちが前夜祭から盛り上げてくれるのが毎年の恒例になっていますから、仕方がないとはいえ、あの年はとても寂しい夏になりました。

幸いなことに、イタリアでオーディションをして選んだ海外組の若いメンバーをはじめ、2年前と同じキャスト、スタッフでまたやれることになりました。日本からは、「ラ・ボエーム」の経験を重ねてきた人たちが出演してくれます。海外を拠点に活躍している人もいるので、とっても面白いアンサンブルになると思いますよ。

今は映像やネットの動画でもオペラを楽しめる時代ですが、それでもやはり劇場で見る生のオペラは全然違います。目の前で空気が振動する…それを全身で味わうことこそが音楽の本質なんだと、コロナ禍を経て僕たち音楽家もあらためて気づかされました。今回の公演は、関西のプロフェッショナルや、一般の方たち、そして子供たちで構成する総勢100人にも及ぶ合唱団の迫力あふれる歌声も見どころなので、ぜひご期待ください。

さあ、プッチーニです。どうぞ存分に楽しんでください。心を掴んで離さないストーリーもさることながら、音楽や美術、衣装、照明などいろんな要素が一体となって生み出す、これぞイタリア・オペラ、これぞ総合芸術という舞台を皆さんにお届けします!

髙田智宏さん(マルチェッロ役)「芸文センターで歌えることが幸せ」

僕が演じる画家のマルチェッロは、熱い男です。お金がなくても芸術の命を燃やそうと必死にもがいている姿を表現するために、自分も若手だった頃の貪欲な気持ちを思い出しながら、稽古に励んでいます。

佐渡さんのプロデュースオペラには2013年から参加していますが、佐渡さんをはじめスタッフの皆さんのプロフェッショナルな仕事ぶりには毎回感動させられます。僕らが舞台上で気持ちよく歌えるように、それぞれが自分の役割をパーフェクトにこなしてくれるんですよね。これは僕がドイツを拠点に活動しているからこそ、余計に強く感じることなのかもしれませんが。

芸文センターは音響が素晴らしいので、あのステージに立てるのはとても幸せなことだと思っています。特にKOBELCO大ホールは2000人以上が入るハコなのに、客席の後ろまで無理なく歌声を届けることができ、歌っていてストレスが全然ないんですよ。

そして、地元のお客様がいらっしゃるからこその温かさが感じられるのも大きな魅力です。僕にとっては第2の故郷みたいな場所。加えて、佐渡さんのあの明るいお人柄でしょう? いつもお祭りみたいにウキウキしますし、我々ももっと盛り上げようという気持ちになります。今回も皆さんの前で歌えるのを楽しみにしています。

平野和さん(コッリーネ役)「ここまでお金をかけたプロダクションは他にない」

哲学者のコッリーネは、物事を小難しく考えがちな面倒臭い男です。一方で、若い女性と一緒になりたいという欲望もありながら、なかなか行動に移せないシャイな部分も。自分にもシャイなところがあるので、そこには共感しますね。「若さ」と「達観」のバランスを見極めながら、自分なりのコッリーネ像をつくっていきたいと思います。

佐渡さんのプロデュースオペラに参加するのは初めてです。私もウィーン・フォルクスオーパーなどで活動していますが、舞台美術や衣装にここまでお金をかけているプロダクションは他にないと断言できます。それでチケットがA席1万2000円なんて、ちょっとあり得ない価格です。そして劇場には、佐渡さんが芸文センターのオープンからオペラの魅力を伝え続け、大切に耕してきた素晴らしいお客様がいっぱいいる。そういう雰囲気の中でオペラを上演できるのは、我々にとっても、お客様にとっても、これからのオペラ界にとっても、ものすごく価値のあることだと思います。

佐渡さんや出演者、スタッフの皆さんがこれまで培ってきた伝統や関西のノリを楽しみつつ、自分も最高のパフォーマンスを追求できればと思っています。今回は滞在も長いので、街に繰り出して地元の人たちとなるべく交流したいですね。街で見かけたら、気軽に声を掛けてください。面白い返事はできないかもしれませんが、感じの悪い人間ではありませんので(笑)。

【公演情報】

佐渡裕芸術監督プロデュースオペラ2022「歌劇 ラ・ボエーム」
(全4幕/イタリア語上演・日本語字幕付/新制作)
[音楽]ジャコモ・プッチーニ
[台本]ジュゼッペ・ジャコーザ、ルイジ・イッリカ
[指揮]佐渡裕 [演出]ダンテ・フェレッティ

会場:兵庫県立芸術文化センターセンターKOBELCO大ホール

日程(全8公演):2022年7月15日(金)、16日(土)、17日(日)、18日(月・祝)、20日(水)、21日(木)、23日(土)、24日(日)

※髙田智宏さん、平野和さんは16日、18日、21日、24日に出演します。

時間:各日午後1時15分開場、午後2時開演。上演時間は約2時間50分(休憩2回含む)。

チケット:A席12000円、B席9000円(消費税込、全席指定)。C席、D席、E席は完売。

予約/問い合わせ:tel 0798-68-0255(芸術文化センターチケットオフィス)

公式サイト:http://gcenter-hyogo.jp/boheme/