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「免許を返したら買い物も病院も行けない」78歳の父が返納をためらう理由 車を手放した後の暮らしはどうする?【社会福祉士が解説】

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地方都市で暮らす50歳の会社員・山本浩子さん(仮名)。近所には78歳の父親が一人で暮らしており、週末に様子を見に行っています。

最近、浩子さんは「父親もそろそろ免許を返したほうがいいかもしれない」と思うようになりました。以前より運転中の反応が遅くなったと感じる場面が増えたためです。

一方で、浩子さんが免許の話をすると、父親は「車がなくなったら買い物にも病院にも行けない」と不安を口にしました。スーパーまでは車で10分ほどかかり、月2回の通院にも車を使っています。路線バスもありますが、本数が少なく、バス停まで歩くことにも負担を感じています。

免許を返納した後も暮らしを続けるには、代わりの移動手段を考えておくことが大切です。では、家族は何を確認し、どこに相談すればよいのでしょうか。

車がないと何に困る?まずは車の利用目的を整理する

父親が車を手放すのをためらう理由を、具体的な外出先や頻度に分けて整理しましょう。さらに、それらの利用頻度や距離、時間帯なども確認します。

そのうえで、免許を返納した場合の移動手段を考えます。父親の漠然とした不安を、具体的な生活上の課題に切り分けるのがポイントです。

▼車を何のために使っているか確認する
まず、買い物、通院、趣味の外出など、実際に父親が車を使っている場所を洗い出します。さらに、利用頻度や距離、時間帯なども確認しましょう。

こうした点を確かめることで、父親が免許の返納をためらう理由が見えてきます。

▼家族だけで支える前提にしない
次に、父親が車を手放した場合の移動手段を考えましょう。家族が送迎できる曜日や時間だけでなく、仕事などで対応できない場合の対策も考えてください。

父親の移動を家族だけで支える前提とせず、地域のサービスも含めて利用できる代替手段を検討することがポイントです。

なお、運転そのものに不安がある場合は、警察の安全運転相談窓口に相談することもできます。全国統一の安全運転相談ダイヤル「#8080」では、高齢運転者本人だけでなく、家族からの相談も受け付けています。

買い物や通院の「代わりの足」はどこで探す?

父親が車を使う理由や頻度などの生活状況を整理したら、地域で利用できる移動支援を調べます。

▼地域で利用できる移動手段を確認する
免許を手放した後の生活に不安がある場合は、地域包括支援センターに相談してみましょう。地域包括支援センターとは、高齢者の介護や生活上の困りごとを相談できる窓口です。「免許返納後の通院や買い物が心配」など、不安を感じる点を具体的に伝え、利用できる支援を確かめてください。

自治体によっては、コミュニティバスや利用者の予約に応じて運行する、乗り合い型の予約制タクシーやバス(デマンド型交通)など、地域の移動を支えるサービスがあります。
ただし、支援方法や対象となる人、利用の条件、料金、使えるエリアなどは地域ごとに異なります。詳しくは、地域包括支援センターや自治体の窓口などに問い合わせてください。

▼買い物と通院は分けて考える
買い物と通院は、高齢者の外出の目的として多くあげられます。免許を返納した後の生活を考えるうえで、これらの移動手段の確保は大切です。

ただし、通院には公共交通機関や地域で利用できる移動支援、買い物には宅配や移動販売など、目的によって利用できるサービスは異なります。買い物と通院では、それぞれに適した移動手段と、その支援を考えるのがポイントです。車に代わる移動手段を一つに決めるのではなく、外出先ごとに複数の方法を組み合わせるとよいでしょう。

車のない生活を試してみる

利用できそうなサービスが見つかったら、返納後の生活を想定し、可能な範囲で実際に使ってみましょう。バスで通院先まで行く、デマンド型交通で買い物に行くなど、実際の生活を想定していくつかの方法を試してみてください。

実際に利用すると、「バス停まで歩くのが大変」「予約方法が分かりにくい」など、事前には気付かなかった問題が分かる場合もあります。気になる点があれば、家族や地域包括支援センター、自治体などに再度相談しましょう。

   ◇   ◇

浩子さんは、父親に免許の返納を迫るのではなく、地域包括支援センターや自治体に相談しました。

その結果、父親が暮らす地域では、通院に利用できるデマンド型交通があり、買い物については宅配サービスも利用できることが分かりました。実際に利用してみると、車がなくても通院や買い物を続けられる見通しが立ちました。

父親も「車を手放しても生活できそうだ」と考えられるようになり、免許返納後の生活を具体的にイメージできるようになりました。

【監修】勝水健吾(かつみず・けんご)社会福祉士、産業カウンセラー、理学療法士。身体障がい者(HIV感染症)、精神障がい者(双極症Ⅱ型)、セクシャルマイノリティ(ゲイ)の当事者。現在はオンラインカウンセリングサービスを提供する「勇者の部屋」代表。

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