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「『ブラッサム』は文学の匂いがする」… 制作統括が語る「ドラマの余白」と「人生の厳しさを描くこと」の大切さ

佐野 華英 佐野 華英

9月28日から「連続テレビ小説」『ブラッサム』(NHK総合ほか)が放送を開始した。本作は、明治、大正、昭和、平成を駆け抜けた作家・宇野千代をモデルに、主人公・葉野珠(石橋静河/幼少期・村上蘭)の波瀾万丈の人生を描く。

宇野千代といえば、4度の結婚と離婚、道ならぬ恋、会社の倒産、多額の借金など、激動の人生を送りながら、喜びも苦しみも全て原稿用紙に刻みつけた不退転の作家として知られる。『ブラッサム』の主人公・珠にも、これから山あり谷ありの人生が待ち受けている。

9月7日にNHK放送センターにて催された第1週の完成披露試写会後の会見で、1980年代の珠を演じる加賀まりこが、本作に望むこととして語った言葉が印象的だった。

「宇野千代さんという自由闊達に生きた女性をヒロインに選んだNHKの判断が中途半端に、きれいごとにならないよう、しっかりと作ってほしいなと心から祈っています。これは制作陣に対しての気持ちです」

「きれいごとにならないよう作ってほしい」という加賀の言葉を受けての思いを、制作統括の村山峻平さんにたずねると、こう語った。

どんなに珠(石橋静河)に苦しいことが起こっても、未来にはあの珠(加賀まりこ)が待っている

「加賀まりこさんのお言葉から、とても大きなエールをいただいた気がしています。僕の解釈でお話しさせていただきますと、1980年代には加賀さんが演じる珠が、しっかりと立っている。石橋静河さんが演じる珠に、加賀さんが演じる未来の珠が『最後にはこういうおばあちゃんがいるんだから、どんなに苦しいことがあったって、それでいいのよ』と言ってくださったのだと思いました」 

「これから珠は、きつい心情とか、いろんな厳しい状況に追い込まれます。やっぱりそこを描くことこそがドラマで、それこそが芝居であるのだと思います。そうした人生の『きつさ』『厳しさ』を大切にしてほしい、そういう芝居場を作ってもらいたい、というメッセージを加賀さんからいただき、鼓舞していただいた。ありがたいです。僕も制作チームも、その言葉をしかと受け止めて、頑張ります」

櫻井剛脚本が生み出す「微妙なニュアンス」を俳優部が豊かに表現

文学を生み出す「作家」が主人公のドラマというだけあって、第1週を観ただけでも、言葉で説明しすぎない「余白」と、受け手の心の中に生まれる「余韻」を大事にした作品だと感じる。言ってみれば「文学的」なドラマだ。朝ドラという枠において、こうした「余白」「余韻」の匙加減についてはどのように考えているのかと、たずねてみた。

「まずは、俳優陣のお芝居の豊かさが前提となっていると思います。そこはキャスティングも含めて、考えうる中でいちばんいい方法を採用しているつもりです。櫻井剛さんをはじめとする脚本チームによって生み出される物語のなか、台詞と台詞の間に置かれた微妙なニュアンスの部分を、ある程度俳優部に任せるという作り方をしています。すごく難しい加減のドラマを生み出そうとしているかもしれません」

視点によって響き方が変わってくる作劇

原稿用紙の升目をモチーフにしたシリーズタイトル「連続テレビ小説」や年号テロップも、「作家が主人公の朝ドラ」らしい演出だ。

「葉野珠という人が小説家になっていくお話なので、これから小説の一文が映像の中に出てくることがあります。その一文は、受け取る人によっていろんな響き方をするのだと思います。視聴者の皆さんに俳優陣によるお芝居を見ていただくときも、『こんなふうに見るのかな』とか『こういう見方をしてもいいんだ』と、何度も重ねて見ることで、いろんな発見があるかもしれません」

「この言葉は、珠の視点で見るとこう聞こえるけど、違う人物の視点で聞くとこう聞こえる、とか。実は、文学とはそういうものではないかなと思っています。観る側にすべてを預けるという意味ではなくて、『違う視点で見てみると、同じシーンがまったく違って見えてきたりして、これはちょっと面白いぞ』と思えるようなドラマにできないかなと。それぞれの登場人物の心の中にあるものを、みんなで語りたくなるようなドラマになっていればいいなと思っています」

第2週の週タイトルは「父からの、解放」。珠と父・清治(渡部篤郎)の関係に、ある大きな変化が起こる。

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