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朝市で買ってきた切り株 筆で命を吹き込むアーティスト 呼び起こされた第3の目に「かっこよすぎる」

山岡 もと子 山岡 もと子

日曜の朝市で買った切り株にアーティストがペイントを施しました。「朝市で売られてた切り株に命を吹き込んだ」という投稿が142万回以上表示され、Xで話題を集めています。投稿者のぬまさん(@nu_nunu_painter)に、制作のいきさつを聞きました。

投稿に並ぶのは、購入時の切り株と、完成した作品の画像2枚です。購入時は、茶色い木の断面がむき出しの状態でした。完成した作品は、断面全体が緑色に塗られ、年輪に沿って波打つ模様の中に、顔と第3の目(額にあるとされる、見えないものを見る目)が描かれています。

この投稿には、「豊かな涙袋と切れ長な瞳をシンプルにパッチリお目目かつ緑の濃淡で仕上げてて素敵」「色といい…デザインといい…かっこよすぎる」「FF6(ゲーム『ファイナルファンタジーVI』)のボスっぽい」「いくらで売ってんだろ」などの声が寄せられました。

木の中にいる存在を掘り起こすような感覚で、できるだけありのままに…

ぬまさんは、精神的な世界を表現するヴィジョナリーアーティストです。四国を拠点に、全国でライブペイント(観客の前で絵を描くこと)や展示、オーダーペイント、壁画制作などを手がけています。服に描くブリーチペイント(漂白剤で色を抜いて描く技法)や、お絵描きワークショップも。普段は壁画やキャンバス作品をメインに、目に見えないものに色や形を与えるような作品を制作しています。木目を利用したのは今回が初めてだったそうです。

今回使った切り株についてぬまさんは、「徳島の問屋町で毎週日曜朝市があって、ふらっと寄ってみたら、入り口にその辺で拾ってきた木や石を雑多に軽トラに詰め込んで売ってるおじさんを見つけました。なんとなく近づいてみると、ひとつの貝塚伊吹(庭木や生け垣に使われる常緑樹)の切り株と目が合って。その瞬間に切り株の中にその『存在』がいるのに気がついたような気がしました」と話します。

目の位置は、木目が教えてくれたのだとか。ぬまさんは、もとからあった年輪を「この子の歴史」と見て、できるだけ消さずに際立たせることで、中にいる存在を強調するよう心がけたそうです。「描き出したというより、仏師さん(仏像を彫る職人)のように木の中にいる存在を掘り起こすような感覚に近いのかもしれません」と振り返ります。

制作期間は2日ほど。木目に従って進めたため、描く段階ではあまり苦労しなかったといいます。手こずったのは、展示用に切り株をつるす準備。耐荷重を考えながら金具を探してホームセンターで2時間ほど悩み、すべて手作業で展示できる形に仕立てました。

作品のタイトルは「貝塚伊吹」。かっこいい名前をつけてもいいと思ったものの、年輪をそのまま映し出したように、存在のありのままを明かしたかったため、率直に名付けたといいます。

Xのリプライでは、外国の方から寄せられた「ペイントしたことで君はこの木をおがくずになることから救ったね」という言葉が印象的だったそう。

「それがこの子のためになるのかはわかりませんが、市場で誰にも見向きもされず埃を被って過ごすよりは、ひとつご縁に恵まれて、形を変えずありのまま愛され続けてほしいと思っています」とぬまさん。

ぬまさんは2027年2月23日~28日、名古屋のエスプラナードギャラリーでグループ展に参加する予定です。今回の作品は、そこで展示販売しようと考えているとのこと。「ぜひたくさんの方に肉眼で見ていただきたい」と話してくれました。

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