2026年9月、回転寿司チェーンのくら寿司が、人気キャラクターとのコラボキャンペーンを予定より早く中止すると発表しました。景品の取り扱いをめぐるSNSでの指摘を受けて社内調査を進めた結果、従業員による不正行為が判明したことが理由だといいます。
飲食店のコラボ企画では、会計金額や注文数などの条件を満たすと景品がもらえる仕組みが一般的です。ランダム景品の場合は運次第のため、目当ての景品が出ないこと自体は、本来は偶然の範囲内といえます。
ただ、こうした景品がフリマアプリに出品されている例も多く、何度も挑戦しても当たらなかった側からすれば「本当に公正に配布されているのか」「店舗側で先に抜き取られているのではないか」という疑問が生まれやすい仕組みでもあります。
もし本当に、従業員が横流しをしていたとしたら、法律上はどのような罪に問われるのでしょうか。ベリーベスト法律事務所の齊田貴士弁護士に詳しく話を聞きました。
景品を管理する立場なら「業務上横領罪」にあたる可能性
ー客に渡すはずの景品を、従業員が抜き取って自分のものにしていた場合、どのような罪に問われるのでしょうか
景品の在庫管理やくじの保管を任されている従業員であれば、業務上横領罪にあたる可能性が高いです。
業務として預かっている物(委託を受けて占有している物)を勝手に自分のものにする行為は、窃盗ではなく横領として扱われ、業務上横領罪の法定刑は10年以下の拘禁刑です。
他方で、景品に対する管理権限が無い(占有が無い)従業員が持ち出した場合は、窃盗罪にあたる可能性もあります。
ー横領罪と窃盗罪は、何が違うのでしょうか
大きな違いは、その物をすでに自分の管理下に置いているかどうか、すなわち、占有があるかどうかです。
窃盗罪は他人が管理・占有しているものを、その占有者の意思に反して勝手に持ち出す行為、横領罪は業務などを通じて委託を受けて、すでに管理・占有しているものを、自分のものにしてしまう行為を指します。
従業員が普段からその景品を管理・占有する権限があったかどうかで、問われる罪が変わってきます。
ーフリマアプリで購入した人が、それと知らずに横流しされた品物を買ってしまった場合、罪に問われる可能性はありますか
不正に得られたと知りながらお金を払って買い取る行為は、盗品等有償譲受け罪にあたり、法定刑は10年以下の拘禁刑及び50万円以下の罰金です。
ただしこの罪が成立するには、購入時点において、当該品物が不正に得られた物だと知っていたことが前提になるため、購入時点で知らなかった人が問われることはありません。
また横領された品物は、盗まれた品物とは民法上の扱いも異なります。
盗まれた物や落とし物については、被害から2年間、元の持ち主が返還を求められると定められていますが、横領によって取得した者は、この2年の特則の対象には含まれないと解されています。
そのため正当な取引で平穏かつ公然に、善意・無過失で購入していれば、買い主はその所有権を取得します。
◆齊田貴士(さいだ・たかし) 弁護士
神戸大学法科大学院卒業。弁護士登録後、ベリーベスト法律事務所に入所。離婚事件や労働事件等の一般民事から刑事事件、M&Aを含めた企業法務(中小企業法務含む。)、税務事件など幅広い分野を扱う。その分かりやすく丁寧な解説からメディア出演多数。