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3カ月かけて5匹全員を無事に保護…用水路で暮らす子猫たち 子育てと仕事の合間に何度も現場へ 活動を続ける母を支えた家族の言葉

渡辺 晴子 渡辺 晴子

「3カ月かかって全頭無事に保護できました」

福岡市博多区の用水路で暮らしていた5匹の子猫。少しでも雨が降れば水かさが増し、近くでは車や自転車による猫のロードキルも発生していました。

子育てや仕事の合間を縫い、何度も現場へ通った末、5匹を無事に保護した「TetoMoco|猫活するママの暮らし」さん(@tetomocomoco)。Instagramに投稿された救出の記録には、「全員が無事に保護されて良かった」「暑い中、本当にありがとうございます」「みんな幸せになってほしい」などの声が寄せられました。

週に一度、20分だけのつもりだった

投稿者さんが、この地域の猫を知ったのは2025年10月ごろ。友人がたまたま通りかかった場所で、複数の猫が集まっているのを見かけたことがきっかけでした。

友人に写真を撮ってもらったところ、猫たちの耳には不妊・去勢手術済みの印となるカットがなく、餌をくれる人を待っている様子だったといいます。

しかし、投稿者さんの自宅から現場までは車で約30分。下半身麻痺の猫や虐待を受けた猫を保護し、TNR(捕獲・不妊去勢手術・元の場所へ戻す)や多頭飼育崩壊の現場にも関わっていたため、すぐに動くことは困難でした。まずは愛護センターやボランティア団体に状況を伝え、地域から相談が寄せられるのを待つことにしました。

その後、子どもの習い事で毎週、博多駅まで通うようになった投稿者さん。送迎の合間にできる20分を使い、気になっていた現場へ足を運び始めます。

「1週間に一度、20分だけ見に行って、もし猫に出会ったら、それは私に課せられた使命だろうと言い聞かせていました」

通い始めて間もなく、母猫と4匹の子猫を発見。周辺住民への聞き取りを進めるなかで、ほかにも妊娠していた猫がいることを知り、調査の末に用水路で暮らす5匹の子猫へとたどり着きました。

初めて見つけたとき、子猫たちは用水路の上にある施設のフェンス内におり、推定生後3~4週間。保護するには、まだ少し早い時期だったそうです。

雨が降れば水かさが増す危険な用水路

別の場所で暮らす猫たちには、餌や寝床を用意して見守る地域住民がいました。しかし、この親子が暮らしていたのは用水路です。母猫は隣接する公園で餌をもらっていましたが、子猫たちを継続して見守る人はいませんでした。

さらに、母猫や子猫が公園へ向かうには、博多駅方面から多くの自転車が通る遊歩道を横切らなければなりません。周辺では月に数回、車や自転車による猫のロードキルが発生していたといいます。

それでも、すでに多くの保護猫を抱えるなか、さらに5匹を迎えるのは簡単な決断ではありませんでした。背中を押したのは、以前保護した猫の里親になってくれた友人や、預かりボランティアを申し出てくれた過去の里親の存在でした。

用水路へ入るには、隣接する施設へ毎回声をかけ、許可を得る必要がありました。片側には送電用の管があり、それに触れないよう注意しながら下りなければなりません。反対側には高さ約2メートルのフェンスがあり、捕獲器を持ったまま越えることはできませんでした。

「女性一人では到底無理でした。夫や、ほかの人に手伝ってもらう必要がありました」

捕獲器の扱いにも細心の注意を払いました。複数の子猫が一緒に入るため、自動で扉が閉まるようにすると、別の子猫を挟んでしまう恐れがあります。捕獲器を置いたあとは地上へ戻り、見張る人と、タイミングを見てひもを引く人に分かれました。

梅雨や夏の豪雨で冠水したときには捕獲できず、何度も生存確認に足を運びました。設置したカメラに子猫の姿が映ったときは、心からほっとしたそうです。

「なぜ私が」と泣いた母を救った子どもたちの言葉

3カ月間で特に大変だったのは、子育てとの両立と、自身の気持ちを保つことでした。調査や捕獲の間、子どもたちは隣接する公園で遊び、ときには車の中でお弁当を食べました。

「近所の子どもたちは涼しい家の中で、テーブルについて食事ができます。なぜ私がこんなに泥だらけになって、子どもたちにもこんな状況で食事をさせているのだろうと、何度も泣きました」

そんな投稿者さんを救ったのが、子どもたちの言葉でした。

「猫はやっぱりママじゃないとだめでしょ!」「あの公園に行きたい!」「YouTubeを見せてくれるならいいよ」

状況を理解しながら楽しもうとしてくれる子どもたちに、支えられたといいます。

夫も当初は「なんでママがやらなきゃいけないの?」と話していましたが、何度も用水路へ下り、捕獲を手伝いました。

「まあ、放ってはおけないよね」「きっと誰かの役に立っているよ」

家族や友人、里親、フォロワーらの支えを受け、投稿者さんは諦めずに現場へ通い続けました。

「パピプペポ」の音がかわいいから

5匹には、保護した順にチュパ、チュピ、チュプ、チュペ、チュポと名付けられました。名前を考えたのは、投稿者さんの2人の息子です。理由を尋ねると、「音がかわいいから」と答えたそうです。

最初に保護できたのは、捕獲器の中のおやつにいち早く反応したチュパちゃんとチュピちゃん。当時は生後6週間ほどでした。チュパちゃんは最初こそ「シャー」と威嚇しましたが、翌日からは2匹とも甘えん坊に。眠くなると人のそばへ来て、寝室の布団で一緒に眠るようになりました。

続いて保護したチュプくんは、5匹の中で唯一の男の子。近づくと隠れてしまう怖がりでしたが、現在はすっかり甘えん坊になったそうです。

チュペちゃんは、最初は威嚇や猫パンチが最も多かった一方、好奇心旺盛で、起きている間は元気いっぱいに遊びます。抱っこや膝の上ではなく、人の横に寝そべって甘えるのが特徴です。

最後に保護されたチュポちゃんは、長く外で暮らしたことで警戒心が強くなっていると思われていました。しかし、人慣れが進むと後追いするようになり、一度抱かれると何十分も動かないほどに。実は兄妹で一番の甘えん坊ではないかといわれています。

2匹は岡山へ、残る3匹は新しい家族を募集中

保護当初、子猫たちの耳や尻尾の周辺には抜け毛があり、軽い猫風邪の症状も見られました。真菌の可能性も考えて先住猫と接触させず、清潔な環境を保ちながら、投薬や点眼などのケアを続けました。抜け毛は約3週間で改善し、現在は元気に過ごしています。

チュピちゃんとチュプくんは、新幹線に乗って岡山へ。小学生のころから猫と暮らすことを夢見ていた夫婦に、2匹そろって迎えられました。

チュパちゃん、チュペちゃん、チュポちゃんは、現在も新しい家族を募集中です。譲渡会に参加すると緊張から結膜炎になることもあるため、体調を見ながら、Instagramライブを活用したオンラインでの譲渡会なども検討しているといいます。

「自分が住む町は、自分たちで変えられる」

今回の活動を通し、投稿者さんが改めて感じたのは、地域のつながりの大切さでした。

「まずは近所の人と交流してほしいです。野良猫は、人と人をつなげてくれていると思います。自分が住む町は、自分で変えられることを知ってほしいです」

町内会や自治会、PTAなど地域の輪を活用し、野良猫や地域猫について知る人が増えてほしいと願っています。今後は、自身がPTAに参加している小学校で野良猫についての啓発授業を行うほか、10月と11月には地元のマルシェでチャリティーと啓発のブースを出す予定です。

今回の母猫は、子猫たちがまだ乳飲み子だったとみられる時期に、別の活動者によって捕獲されていました。親子猫を見つけた場合は、子猫の居場所や無事を確かめ、離乳の時期を見極めたうえで母猫を捕獲することが大切だと、投稿者さんは話します。

一度捕獲器に入った母猫は警戒心が強くなり、現在は再び捕獲することが難しい状態です。そのため投稿者さんは、近隣住民や周辺施設の人たちに、母猫を継続して見守る必要性を伝えてきました。今は地域の目に守られながら、無事に暮らしていることを願っています。

「虐待は実はすぐそばで起きていること、そして誰にでもできることが必ずあると伝えたいです。TNRや野良猫の管理を進めることは、人にも猫にも安全な住環境につながります」

多くの人の協力を得ながら、3カ月をかけて救われた5匹の子猫たち。すでに2匹は新しい家庭で暮らし始め、残る3匹も温かな家族との出会いを待っています。

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