机に開いた小さな穴の上に、牡蠣のぬいぐるみを置いてみると……。次の瞬間、牡蠣はスポッと穴の中へ。まるでブラックホールにのみ込まれるように、一瞬で姿を消してしまいました。
続いて亀のぬいぐるみを置いてみても、やはり穴の中へ。予想以上に勢いよく引き込まれていく様子が、まるでマジックのようです。
動画には、「ウケる~笑っちゃいました」「面白いくらい吸い込まれてる」「ブラックホール」「牡蠣で大爆笑しました」「地底に引きずり込んだあとはどうするのでしょう?」など、楽しいコメントが寄せられました。
動画をInstagramへ投稿したのは、「保護猫あぶら&ぽんず」さん(@hogonekoabura_ponzu)。ぬいぐるみを引き込んでいるのは、推定2歳半になる保護猫の女の子「あぶら」ちゃんです。撮影時の様子や、一緒に暮らす同じく保護猫の「ぽんず」ちゃんとの関係について、飼い主さんに伺いました。
ぬいぐるみを吸い込む「謎の穴」の正体
この遊びが始まったきっかけは、穴の中に猫じゃらしを入れてあげたことでした。あぶらちゃんがとても楽しそうに遊んでいたため、飼い主さんがぬいぐるみで穴を塞いでみたところ、穴の中へ引き込むようになったといいます。
「穴が塞がれているのが、よほど気になるのだと思いました。面白かったので、撮っておこうと思って撮影しました」
あぶらちゃんが隠れていたのは、現在「猫の部屋」として使われている約2畳の小部屋です。もともとは、飼い主さんの旦那さんが書斎として使用する予定でした。
しかし、かつて一緒に暮らしていた猫の「ミソ」ちゃん(現在、行方不明)を保護した際、まだ使われていなかったこの部屋を隔離スペースにすることに。換気扇や備え付けの机があり、机の横には窓も設けられていたことから、猫たちにぴったりの部屋だったそうです。
そのまま猫用のトイレを置き、書斎になるはずだった部屋は猫専用の空間になりました。動画に映っていた小さな穴は、備え付けの机に設けられた「PCのコードを通すための穴」だったのです。
あぶらちゃんは、穴の中へ引き込んだぬいぐるみをくわえ、リビングへ持っていくこともあれば、そのまま放置することもあるのだとか。逆に、穴の中からぬいぐるみを引っこ抜く場合もあります。
「吸い込むことよりも、穴を塞いでいる物をどかすのが一番楽しいみたいです」
どうやら、穴の奥へ獲物を引きずり込もうとしているわけではなく、塞がれた穴を開通させること自体を楽しんでいるようです。
道端で自ら走ってきたあぶらちゃん
あぶらちゃんは、控えめながらも人に構ってもらうのが好きな“構ってちゃん”。とても優しく、人間ともほかの猫とも仲良くできる性格です。
一方で、おやつは大好物。おやつのときだけは、ぽんずちゃんから奪ってしまうこともあるそうです。
飼い主さん夫婦があぶらちゃんと出会ったのは、行方不明になったミソちゃんを夜に捜していたときのことでした。道端にはほかのきょうだい猫もいましたが、あぶらちゃんだけが飼い主さん夫婦のもとへ走ってきたといいます。
近くで見ていた母猫も怒る様子を見せなかったため、そのまま抱き上げて保護しました。
ミソちゃんも、旦那さんが一緒にいるときに道端から走ってきたそう。飼い主さんは「夫が猫にモテるのかもしれません」と笑います。
体重約150グラムの子猫を献身的にお世話
そして、現在あぶらちゃんとともに暮らすぽんずちゃんは、推定1歳3カ月の女の子です。人間も猫も大好きで、遊ぶときも飼い主さんの膝に乗るときも、あぶらちゃんより先に駆けつける積極的な性格。食べ物も好き嫌いなく、何でも食べるそうです。
ぽんずちゃんを保護する2、3日前から、飼い主さんは屋外で子猫の鳴き声を耳にしていました。気になっていたところ、近所の人の車のエンジンルームにいるぽんずちゃんを発見。母猫も見当たらなかったため、自宅で保護しました。
当時のぽんずちゃんは、体重約150グラム。まだ目も開いていませんでした。飼い主さん夫婦や近所の人だけでなく、あぶらちゃんも子育てに協力。トイレの使い方や猫同士のルールを積極的に教えてくれたといいます。
あぶらちゃんは、初めてぽんずちゃんを見たときも、まったく威嚇しませんでした。献身的にお世話をし、現在も過保護なくらい面倒を見ようとして、ときにはぽんずちゃんに怒られてしまうこともあるそうです。
遊びも膝の上も妹に譲ってしまう
現在も2匹はとても仲良しですが、優しいあぶらちゃんは、遊びも妹分のぽんずちゃんに譲ることが多いといいます。
ぽんずちゃんはあぶらちゃんよりも動きが速く、遊びが始まると真っ先に駆けつけます。その勢いに圧倒されるのか、あぶらちゃんは「ぽんずが遊ぶなら、私は見ています」とでもいうように、一歩下がってしまうのだとか。
動画の穴を使った遊びでも、現在はぽんずちゃんがすぐにやって来ます。ぽんずちゃんがあぶらちゃんと同じように穴で遊ぶこともあれば、2匹が穴の上下に分かれて待機することもあります。
飼い主さんの膝に乗るときも、先に来るのはぽんずちゃん。あぶらちゃんはそばで順番を待っていることが少なくありません。
そこで飼い主さんは、あぶらちゃんが膝に乗ってきたときには、できるだけ動かずに撫でるようにしています。ぽんずちゃんが膝から降りた後には、あぶらちゃんに声をかけ、膝の上へ呼ぶことも。
遊ぶ際には、ぽんずちゃんを抱っこしている間に、あぶらちゃんだけを遊ばせる場合もあります。ぽんずちゃんが走ってこないと分かると、あぶらちゃんも自分のペースでのびのびと遊べるそうです。
ただし、その間はぽんずちゃんに我慢してもらうことになるため、飼い主さんは「難しい問題です」と話します。どちらにも楽しい時間を過ごしてほしいという、飼い主さんの優しい気遣いが伝わってきます。
1年以上前の動画が思わぬ反響
動画は1年以上前に撮影されたものです。飼い主さんがたまたまスマートフォンに残っていたデータを見つけ、リール動画にしたところ、大きな反響が寄せられました。
「『吸い込まれる』『ブラックホール』など、私がうまく言葉にできなかった様子を、皆さんが楽しくコメントしてくださって、こちらもとても楽しかったです。こんなに反響があるとは思わず、びっくりしました。皆さんに笑っていただけて、とてもうれしいです」
今も穴の上や下で待機し、大好きな遊びを楽しんでいるあぶらちゃん。ぬいぐるみを次々と吸い込む“猫のブラックホール”は、多くの人に笑顔を届けました。