受験生にとっての夏休みは、勉強に追われて思い出作りができないかもしれません。そんな勉強だらけだった夏を描いた物語『思い出ジュース』(作:色白ゆうじろうさん)が、pixivに投稿されました。
物語の主人公は、同じ塾に通うタツキ、デーモン、イーモンの小学生3人です。中学受験を控え、夏休みも毎日塾で勉強していました。
そんな3人は「せっかくの夏休みなのに、思い出が作れない」と悩んでいたある日、塾の帰り道に「小学生歓迎」と書かれた喫茶店を見つけます。店主に悩みを見抜かれ勧められたのは、青と紫が混ざり合った美しい「思い出ジュース」でした。
3人がジュースを飲むと、突然意識を失ってしまいます。そして目を覚ましたタツキは、なぜか街にいて、大人の姿になっていました。そこには、同じく成長したデーモンの姿もあります。
2人の財布には、九州の名門大学の学生証が入っていました。大学生のタツキとデーモンは車で出かけ、夏の一日を満喫します。そして夜景を前に、「今日は大人気分を味わえたね」と喜びます。
しかしその直後、2人はめまいに襲われ、気が付くと元の小学生の姿に戻っていました。店主によると、「思い出ジュース」は未来の思い出を、ひと足先に体験できる飲み物だったのです。
それから3人は、何度か喫茶店を訪れます。タツキとデーモンは、なぜかいつも同じ夢を共有し、イーモンは高校生になった自分の夢を、1人で楽しんでいました。
ところがある日、デーモンは「私は目先の楽しさで未来を使いたくない」と、ジュースは飲まないと宣言します。その言葉を聞いたタツキも考えを改め、2人は再び勉強に励むことにします。
しかしイーモンは反対し、塾にも来なくなってしまいました。
その後のある日、塾の帰り道を歩く2人が見つけたのは、「売物件」の看板が掲げられたあの喫茶店と、その前で泣くイーモンでした。
「オレたちだけ夏の思い出も作れず勉強漬けって…あんまりだろ!」と嘆くイーモンに、タツキは、この時間も素敵な夏の思い出の最中だと語ります。それを聞いたイーモンは元気を取り戻し、今から勉強すると笑顔を見せるのでした。
最後には、デーモンが思い出ジュースで見た未来をもとに、タツキへ「私たちは動物界でいうところの『つがい』なのでは」と伝えます。しかし鈍感なタツキには伝わらず、デーモンは怒って歩き出すのでした。
読者からは「デーモンちゃんの、純情に乾杯!」や「どんな未来が待ち受けているのかが気になる」などの声があがっています。そんな同作について、作者の色白ゆうじろうさんに話を聞きました。
君たちが今こうして努力している日々そのものも、かけがえのない素晴らしい思い出
――同作を描こうと思われたきっかけを教えてください。
知り合いの受験生たちが「僕たちは勉強ばかりでつらい。せっかくの夏休みなのに」と嘆いているのを目にしたのが、思いついたきっかけです。
「でも、君たちが今こうして努力している日々そのものも、かけがえのない素晴らしい思い出なんだよ」と、子どもたちにエールを送りたくて、この物語を描きました。
――作中登場する3人のキャラクターを描くうえで、意識されたことを教えてください。
デーモンを中心に考えました。
激しい気性を持ちながらも、未熟な男子たちを引っ張っていく思慮深い女の子として描いています。
夢の中(未来)で見せた彼女の成長した姿も、タツキにとって「こんな未来が待っているんだ」と予感してもらえるように意識しました。
――同作を通して、読者に伝えたいことを教えてください。
「目の前にある泥くさく苦しい日々も、振り返ればすべて大切な思い出であり、素晴らしい時間だった」というメッセージを込めました。
受験生をはじめ、今を懸命に生きる皆さんに届いてくれればと思っています。
<色白ゆうじろうさん 関連情報>
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