京都府長岡京市の全56自治会長でつくる市自治会長会の会長を、八木仁美さん(63)=八条が丘=が女性で初めて務めている。「知恵をつなげ、居心地の良い場をつくる」姿勢で、地縁の希薄化や担い手の高齢化など課題に直面する自治会のまとめ役として奔走する。2年任期の半ばを前に「各自治会が時代に合わせて運営できるようにしたい」と語る。
地元の八条が丘自治会で2018年から会長を務め、昨年5月に自治会長会の会長に選ばれた。「自分自身に『会長は男性が務めるもの』という思い込みがあり、不安もあったが、みなさんが受け入れてくださる雰囲気で助けられた」と感謝する。
強いリーダーシップで地域を引っ張る旧来の自治会長像とは異なる。約500世帯が居住する八条が丘地域で心がけたのは「『自分が何かしなくてはならない』ではなく、地域の人が持つ知恵を共有する」ことだ。実際、同自治会では元学校教員が夏祭りで子ども向けに紙芝居を披露し、登山歴が長い住民がウォーキングイベントを開いてくれた。
「何もしないのは後ろめたいものだが、やり過ぎはきつい。仕事や家庭がある中で活動を続けられるよう少しずつ仕組みを変えていった」。負担感がなり手不足につながっていた役員の仕事を減らすため、住民に配布する文書の内容を自治会の「八条が丘だより」に集約し、ブログでも発信。23年からは自治会会員(会費)制を廃止し、活動資金に任意の「協力金」を充てて、地域行事に誰でも参加できるようにした。
「協力金は払っていないが、役員や催しの手伝いは引き受ける」など自治会活動に関わってくれた世帯は少なくとも6割ほどの約300世帯。組織というより活動を通じて住民がつながる「ジチカツ」を打ち出してきた。
各地と同様、同市内でも「自治会離れ」は深刻で、加入率は本年度は43.2%だ。「過半数の世帯が自治会に入らない状況で、災害時などは助け合わないといけない。自治会自体も変わらないといけない時代だ」と語る。
自治会長会は昨年10月、紙の回覧板のようにLINE(ライン)で住民に地域情報を共有できるシステム「自治会サポ!」を導入するなど新たな動きもある。「他団体との協働や、自治会同士の連携も進めば。『こうでなければならない』というハードルが下がれば、新しいアイデアも生まれやすくなる」と力を込める。