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シニア犬、シニア猫にお灸をおすすめする理由 冷えがある子を体の芯から温める 自宅で続けやすい棒灸のやり方と注意点

小宮 みぎわ 小宮 みぎわ

シニア犬、シニア猫たちを飼っておられる飼い主さまには、お灸をお勧めします!

お灸というと、年寄り臭く感じられる方もおられるでしょう。昔、腰を痛めた婆ちゃんがやっていたとか…私も若いころは、ババくさぃ...と思っておりましたが、いま自分がおばさんになって改めて、身体を温めることの大切さが身に染みております。

そうです。年をとると身体が冷えるのですが、そんなときはお灸で温めるのが良いです。そして、そんなババ臭い「お灸」はいま、全世界に広がりを見せています。というのも、お灸は温めたり痛みを取るだけでなく、その煙成分には強力な抗酸化作用、抗炎症作用、抗ウイルス・抗菌作用、痰を取り去り咳を鎮める作用などなどが科学的に証明されつつあるのです。

体調がすぐれないときに、安価で手軽に続けられて自分でできる治療法なので、良いですね。「モクサアフリカ(Moxafrica)」というイギリスのチャリティ団体では、アフリカを中心とした途上国での結核治療、HIV治療にお灸を併用することで、治癒率を上げる活動支援を行っておられます。お灸を当てる場所はすべて「足三里」というたったひとつのツボなのですが、結果を出しています。

お灸の原材料はもぐさ、もぐさは(主として)ヨモギの葉の裏の柔毛(じゅうもう)を集めたものです。この柔毛にはシネオール、カンファー、セスキテルペンなどの精油にも含まれている成分が入っています。これらのおかげで燃やしたときにあまり温度が上がらず、お灸を置いたところが火傷しにくくなります。

夏になる前に積んだヨモギの葉を乾燥させて石臼で挽き、篩(ふるい)にかけて柔毛を集めます。それを紙で巻いて棒状にしたものが棒灸です。お灸にはいろいろな種類がありますが、犬猫たちにご家庭でなさるのであれば、「棒灸」がお勧めです。

棒灸は輻射熱で患部を面で温めますが、さらに体の深部まで温める力もあると言われています。近年、煙が出ないお灸やヨモギを使わずに電気で温める電子温灸器などがありますが、先に述べたように「煙」にさまざまな薬効があるので、煙ってナンボです。ただ、お灸をされるときには、煙のにおいに家族や近隣への配慮が必要ですし、煙探知機が設置されているお部屋での使用だと、探知機が作動してしまうこともありますので、注意が必要です。火の始末には十分お気を付けください。

では、実際にどんな子にお灸をしてあげたら良いのでしょうか?

お灸は「陽気を扶(たす)ける」ものだと古い書物に記されています。動物は加齢とともに自分で身体を温める能力(これを陽気と言います)が落ちてくるので、そこを補助して温めるのがお灸です。

シニアでなくても生まれつき身体が弱くて病気がちな子は、身体が冷えている場合が多く、冷えていると免疫がうまく働かなかったり、痛みが出たり、お腹の調子が悪くなったりすることが多いです。あるいは、非常に緊張している状態が続くことも身体を冷やしますので、このような時にもお灸が適応と言われています。

お灸は、経穴(ツボ)を温めることによって体の芯から温まり、筋肉や神経の緊張を緩めて血流やリンパの巡りを改善させると言われています。

経穴、ツボ、というとまたまた難しくなりますね。まずは難しく考える必要はありません。腰から尻尾にかけてを温めてみましょう。そこだけでも、重要なツボがある領域なので、効果があると言われています。また、手足が冷え切っている子は、肉球に当ててみましょう。

棒灸を棒灸フードに入れて火をつけ、灰を受けるメッシュを装着します。棒灸の燃えている部分とメッシュまでの距離を調節してお灸の熱さを調整します。メッシュにご自身の手を当てて温度を確かめながら、犬猫たちの温めたい部位に10秒程度置きます。最初は5分程度から始めて、慣れてくれば1回15分くらい、体の数か所に棒灸を当てます。体重1~2キロの子だと15分程度で身体全体がホカホカしてきます。終わったら、火消し缶に入れて消火します。

被毛が焦げたり灰が落ちるのが心配な場合は、温める部分と棒灸の間に手ぬぐいを当てます。枇杷の葉や枇杷の葉エキス、クマザサエキスを浸したガーゼを当てても良いです。これらのエキスでさらに効果が高まります。時々、メッシュを外して灰皿などで棒灸をトントンして灰を落とします。

当院では、診察で鍼治療をさせていただき、治療の補助としてご自宅でお灸なさることをご提案させていただいております。お薬がどうしても飲めないときの代わりになる治療としてもご提案いたします。ただ、この場合は内服するお薬と同等の効果がある訳ではありません。

病気としては、椎間板ヘルニア、関節炎、膝蓋骨脱臼の痛み、てんかん、皮膚炎、認知症、嘔吐や下痢・便秘などの発症原因に、身体の冷えがあれば、お灸を治療の補助に使うと効果的です。お灸をお勧めしないのは、大出血時、激しい運動や入浴直後、食事の直後、妊娠中、発熱中、皮膚が熱をもって赤く腫れているときなどです。

9歳のサビ猫ヒメちゃんは、半年前より嘔吐下痢が治らず、ステロイドなどの西洋薬を内服していましたがたいした効果がありませんでした。お灸をお勧めしてご自宅でやってみたところ、徐々に症状が落ち着いて良くなりました。お灸を毎日続けることによって、身体は冷えにくい体質へと変化出来る可能性があります。

◆小宮 みぎわ 獣医師/滋賀県近江八幡市「キャットクリニック ~犬も診ます~」代表。2003年より動物病院勤務。治療が困難な病気、慢性の病気などに対して、漢方治療や分子栄養学を取り入れた治療が有効な症例を経験し、これらの治療を積極的に行うため2019年4月に開院。慢性病のひとつである循環器病に関して、学会認定医を取得。

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