大切な家族を亡くし、追い打ちをかけるように愛猫も虹の橋へ。残された家族は、明かりが消えたようになった家で静かな日々を送っていました。ところが、ある日、庭から子猫の鳴き声が―。その主は、キジ白猫「ロッキー」くんと「チャーム」くん、そして黒猫「ジョン」ちゃんの3きょうだい。その瞬間から、Xユーザー・みぃ~みぃ~ちゃんとジャミラズさん(@mimichan0609)家族の時間は、ふたたび動き出しました。
力尽き、動けない子猫たちとの出会い
2021年10月、飼い主さんは父と祖母を続けて亡くしました。その悲しみが癒えないまま、翌年、16年間いっしょに暮らしてきた三毛猫の「みぃ~みぃ~」ちゃんが虹の橋を渡ったといいます。
「家族みんなで深い喪失感に沈み、言葉も少なく、ただ毎日が過ぎていきました」
そうして翌年の春、庭の納屋で子猫の鳴き声が聞こえ始めました。昼も夜も止まらず、耳をふさぎたくなるほど続いたといいます。
「気になって納屋の奥まで進むと、捨てようとして置きっぱなしになっていた古いタンスがあったんです。その観音扉が開いたままになっていて、鳴き声はそこからすることがわかりました」
母猫が戻るかもしれない。そう願い、2日間見守り続けた飼い主さん。しかし鳴き声は弱り、胸騒ぎが大きくなっていきました。
「意を決して扉を開けると、タンスの中には1匹目の子猫が小さく鳴き、その隣でもう2匹目の子猫が震えながら身をひそめていました。そして、地面には3匹目の子猫がタンスから落ちたのか、必死にもがいていたんです」
その姿を目にした瞬間、飼い主さんの迷いは消えました。3匹を段ボール箱に入れて、すぐに病院へ。すると、生後わずか13日、母猫に育児放棄された可能性が高いと伝えられました。
それが、ロッキーくんとチャームくん、そしてジョンちゃん。のちに、「ジャミラズ」という総称で呼ばれるようになる3匹のきょうだい猫との出会いだったのです。
眠れない夜とミルク育児──「励まされていたのは私でした」
子猫たちは自力で排泄もできず、目も開ききっていませんでした。とくにチャームくんは、いつ命を落としてもおかしくないほど弱っていたといいます。
「チャームは体が冷えて震えていたため、湯たんぽを使って温めながら、少しずつミルクを飲ませました。目ヤニで目が閉じていたので、やさしく拭き取り、開くのを待ったんです」
飼い主さんは仕事の合間をぬって子猫たちにミルクを与えるため帰宅。夜もアラームをかけて2~3時間ごとに授乳を続けました。ケージはすり抜けてしまうため、毛布を敷いた段ボールで寝かせたといいます。
「私たち家族は共働きのため、生活リズムを大きく変えました。外出中でも様子を確認できるようにペットカメラを設置し、昼休みには急いで帰宅して授乳と排泄を済ませ、また職場に戻りました」
小さな命を救うため、眠気と不安と戦う日々。「どうか元気になって」。そう願いながら必死に続けた結果、子猫たちの健康状態は少しずつ良くなっていったのです。
「日に日に元気を取り戻していくのがわかりました。保護したときの弱々しさがなくなっていき、元気になっていくのがわかるように。お世話をしているつもりが、いつのまにか元気をもらっていたように思います」
2年後…家に戻った明るい笑い声
現在、「ジャミラズ」は2歳。専用部屋で元気に遊び、お気に入りの場所で眠る、そんな幸せな日々を送っています。
「ロッキーは穏やかで賢く、まわりをよく見て行動できる子です。ジョンはクールで気分屋ですが、心を許した相手には甘える姿を見せてくれます。チャームは、あのときの衰弱が信じられないほど、天真爛漫で好奇心旺盛に育ちました」
大切な家族、そして先住猫のみぃ~みぃ~ちゃんとの別れのあと、家庭は悲しみに包まれました。その暗く沈んだ心に、「ジャミラズ」があたたかな光をあててくれたのです。
「3匹が家庭に笑い声を取り戻してくれました。きっと、旅立った家族やみぃ~みぃ~ちゃんがこの出会いを導いてくれたのではないかと思います。これからも、一緒に生きていきたい。我が家に来てくれて本当にありがとうと伝えたいです」