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空前の抹茶ブーム 参加者の半数はインバウンド 京都の寺が抹茶のお香の体験教室

京都新聞社 京都新聞社

 宇治川沿いの古刹(こさつ)「恵心院」(京都府宇治市宇治)で、観光客向けに抹茶のお香を作る体験教室を開いている。参加者にはインバウンド(訪日客)の姿も多く、「楽しい体験を通して宇治を感じてもらいたい」と語る。

 京都市下京区生まれ。茶道や生け花、和装の着付けを習っていた母親の影響で、幼い頃から和文化に親しんだ。20代の時、貿易会社で働いていたことで海外に目を向けるようになり、ワーキングホリデー制度を使ってオーストラリアへ。現地で日本人向けガイドを行ううちに観光に興味を持つようになった。

 抹茶のお香を発案したのは、結婚・出産を経て、宇治市に住むようになった40代半ば。海外から訪れた友人をもてなす際、「宇治らしいことを体験してほしい」と思い、趣味で作っていたお香と宇治特産の抹茶を組み合わせるアイデアが浮かんだ。

 香道の流派で香りについて学びながら、抹茶を練り込んだお香を開発。香炉で温めて香りを出すタイプの印香(いんこう)で、地域のイベントなどで販売したところ人気を呼んだ。「インセンスキッチン」の屋号で開業し、お香の販売とともに製作の体験教室を始めた。

 教室では、クッキーの生地のように抹茶を練り、好みの絵柄の木型にはめ込んで、お香を作る体験をしてもらっている。会場に漂うふくよかな香りを楽しんでもらいつつ、お香の歴史や源氏物語との関係なども紹介している。

 お香に使用するのは、茶農家や製茶工場が廃棄する抹茶。製造工程で機械の間にたまるなどして、どうしても食品として販売できない「フードロス抹茶」があることを知り、仕入れるようになった。「生産者が手間暇かけて作った高級抹茶をできる限り活用したい」との思いを込める。

 空前の抹茶ブームの中、教室の参加者の半数はインバウンドが占めるように。海外での販売も反応が良いという。「お香をきっかけに宇治に来てもらえればうれしい」。宇治市宇治。

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