京都の大学生コンビ「そろばん最高位」十段合格 スタイル真逆の2人が切磋琢磨、異例の同時満点

京都新聞社 京都新聞社

 そろばんの最高位の十段に、京都府内の大学生2人が満点で合格した。府内在住者では15年ぶり。珠算への向き合い方は異なる2人だが、段位試験では刺激し合って見事、同時に偉業を成し遂げることができた。

 京都大3年の磯貝勇誠さん(21)=向日市=と、同志社大1年の三原智輝さん(19)=京都市中京区。磯貝さんは4歳、三原さんは5歳からそろばんを始めた。

 ほぼ毎日そろばん塾に通い、磯貝さんは小学4年で珠算、暗算とも十段に合格。三原さんは同4年で暗算、同6年で珠算の十段に合格した。2人とも全国大会で多数の優勝経験がある。

 京都珠算振興会常務理事の寺田剛大(たけひろ)さん(61)によると、磯貝さんはスピード派、三原さんは「きっちり答えを合わせていく派」だという。

 磯貝さんは自身を分析し、戦略を立てて取り組んできた。小学6年からはそろばんノートを作り、大会の反省点などを記録しているという。

 三原さんは「数字が好きで続けている」。中学生になってからは、珠算と暗算の同時満点合格を目標に段位試験を受けてきた。ただ毎回、あと一歩のところで涙をのんでいた。

 そんな三原さんの様子を寺田さんから聞いた磯貝さんは、三原さんが高校最後となる今年2月の段位試験に、11年ぶりに挑むことを決めた。「一緒に受けたら、智輝が満点を取ろうという気持ちになるかも」という思いからだった。受けるからには一発合格するつもりだった。

 2月9日の試験当日、京都経済センター内の会場に、他の受験生に交じって2人も姿を見せた。磯貝さんは手が震え、いつもの大会とは違う緊張に包まれた。一方の三原さんは「毎回何をやってもだめだったから」と、無心で臨んだ。

 結果、2人とも満点を取ることができた。出題形式が改正された2003年以降、満点合格者は2人を含めてわずか6人。同じ地域からの複数の満点合格者輩出は初めてとなる。

 磯貝さんは「そろばんの技術が高まるとともに自分も成長してきた。いろいろな方に応援してもらったので、その方々のためにも頑張って日本一になりたい」と強いまなざしで話す。

 三原さんは「『ごはん、歯磨き、そろばん』というぐらい、そろばんは当たり前の存在。自分の最高点が取れたらうれしい、という思いで続けられている」と笑顔を見せた。

 そろばんの段位認定試験 日本珠算連盟などが主催する。10~1級と初段~十段がある。段位はかけ算、わり算、かけ暗算など6種目計300題が出題され、300点満点。かけ算は11桁、かけ暗算は7桁までを計算する。

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