いくら丁寧な説明とはいえ、なぜか冷たく感じてしまう言葉に出会うことは、仕事をしていると多々あるでしょう。そんな冷たく感じられてしまう言葉でも、ちょっとした言い回しの違いで相手に与える印象は大きく変わります。Instagramで人気の漫画家・B.B軍曹さんが投稿した『なぜか好かれる夫の話し方』は、“言葉の選び方”の大切さに気づかされるエピソードを漫画にしています。
ある日、B.B軍曹さんの家のシャワーが壊れたため、メーカーに電話で問い合わせをしたときのことです。B.B軍曹さんは対応した電話口の相手から「先ほども申し上げましたが」という言葉から始まる説明を受けます。この言葉にB.B軍曹さんは、「ちゃんと聞いていなかったの?」という意図が隠されているように感じ、不快な気持ちになるのでした。
この出来事から数日後、今度は夫とともに仕事の打ち合わせをする場面で、今度は自分がこの言葉を言わなければいけないような場面に遭遇します。取引先とのやり取りのなかで、やや話の認識にズレがあったように感じたB.B軍曹さん。取引先に説明をしたいものの、「先ほど申し上げましたが」とは言いたくなく悩んでいたところ、夫の髭さんが口を開きます。
彼は取引先への再説明をする場面で、「そうですね。先ほどのお話と重ねてのお願いになりますが——」と、意味は同じだけれども違った言い回しで説明を始めます。この言い回しに、ちょっとした違いでありながら伝わり方の違いを感じ、B.B軍曹さんは感心するのでした。
その時の状況について、同作の作者であるB.B軍曹さんに詳しい話を聞きました。
「先ほども申し上げましたが」は防御モード、「先ほどのお話と重ねて」なら協力モード
ー「先ほども申し上げましたが」という表現は実際によく聞きますが、どうしてその言葉にひっかかりを感じたのでしょうか?
正直なところ、電話口でこの言葉を聞くと、「またやらかしてしまったかも」と自己嫌悪スイッチが勝手に入っちゃうんですよね(笑)もちろん言ってる側は悪気ゼロなのもわかってるんですが、「ちゃんと聞いてました?」って試されてる感じがして、妙にグサッとくるんです。考えすぎなのかもしれませんが、つい色々と気になってしまうんですよね。
ー「先ほども申し上げましたが」と「先程のお話と重ねて」と言う2つの言い回し、どうして受け取り方が違うのだと感じますか?
これは本当に不思議なんですが「先ほども申し上げましたが」って言われると、過去のミスを掘り返されてる感じがするんです。でも「先ほどのお話と重ねて」って言われると、「あなたの話、ちゃんと覚えてますよ」っていう信頼のスタート地点に立たせてくれるというか。同じ内容なのに出だしの一言で、こちらの受け取り方が「防御モード」になるか、「協力モード」になるかが変わる。夫のその一言に、妙に納得しちゃったんです。
ーこうした日常の小さな違和感はよくメモされているのでしょうか?
はい、めちゃくちゃメモしてます!スマホのメモ機能が大活躍です(笑)日常のもやっとした瞬間があると、脳内に勝手に「漫画にせねば!」ってランプが点灯するタイプです。些細な違和感でも、「なんでこれが刺さったんだろう?」って掘っていくと、意外と読者の共感ポイントになったりするんですよね。逆に言うと、少し傷ついたときほど良い漫画の材料になると思っていて、感情の振れ幅こそが、創作のエネルギーだと感じています。
<B.B軍曹さん関連情報>
▽Instagram
https://www.instagram.com/b.bgunso/
▽書籍『全てのネガティブをプラスに変える夫 髭・NGと書いてナイスガイと読む 編』
https://www.amazon.co.jp/dp/4391162725
▽書籍『全てのネガティブをプラスに変える夫 髭・さては人生3周目だな 編』
https://www.amazon.co.jp/dp/4391162733