「たまにセルフのガソリンスタンドでバイトしてるんだけど一言言わせてほしい。
セルフだからって子供に車の給油をさせないでくれ……！！」
Threadsで子供の給油にまつわる注意喚起を投稿したなっちゅんさん（@natsu72725）と、全国にガソリンスタンドを展開している「出光興産株式会社」に取材しました。
夏休みに入ると、子供と一緒に車でレジャーに出かける機会も増える季節。必然的にガソリンスタンドに寄るタイミングも増えることが予想されます。
セルフのガソリンスタンドで監視員のバイトをしているなっちゅんさんは、ご自身の経験をふまえて、ガソリンの怖さや子どもの給油の危険性を切実に伝えています。
「子供の目の高さに車の給油口があるとさ、吹きこぼれて目にかかったら最悪失明するの。
子供の皮膚は薄いから、ガソリン触っただけでヤケドするの。
で、それらの最悪な事態になってもガソリンスタンドで応急処置できることはほぼないんだ。
だって給油は大人がやるものだから。
困った！って言われても救急車呼ぶか病院行くかしてくださいって言うしかないんだよ。
やりたい！って言ったことをやらせてあげたい気持ちは分かりますが、危険を伴いますのでご遠慮くださいますようお願いいたします」
監視員は、お金を入れてノズルを車の給油口に挿して…という一連の動作をカメラで見ているそう。「危険な状態でガソリンを入れようとしていないこと」が確認できたら、事務所で「給油開始ボタン」をプッシュ。すると、ノズルからガソリンが出る仕組みになっているとのことです。
「給油開始してるのにちょっとタイムラグがあってからガソリンが出てくるのは許可ボタンを押す前に確認してるからなんです。ですので、子供が給油しようとしていたら許可出す前に声掛けしてます」
大切なことを発信してくれたなっちゅんさんにお話を聞いてみました。
なぜ危ないのかがもっと広まってほしい
――どうして今回の投稿を？
当たり前のように子供にやらせようとする親御さんを見かけることが続いたのがきっかけです。
――声かけをすると皆さん聞いてくれる感じですか？
私が声かけしたお客様はみなさん素直に聞いてくださいました。他のバイトさんの話を聞いても、だいたいは素直に聞いてくれるそうです。
――どのくらいの頻度でそういった親子を？
土日の昼間に見かけることが多いです。毎日バイトに入っている訳ではないのでなんとも言えませんが、週3回バイトに入って1回見かけるかな？といった感じです。子供の同乗する機会の増える長期休みは普段よりも多いかもしれません。
――働いているガソリンスタンドではどのように注意喚起を？
タッチパネルで支払い方法や油種を選ぶ過程で禁止事項の表示が出ます。ですが、禁止事項をまじまじと読んでくださるお客様に出会ったことはありません。それでもほとんどのお客様は安全に給油してくださっています。
――子供の給油についてスタッフへの伝達は？
「子供がやろうとしてたら絶対声かけしてね！」と言われたくらいでしょうか。法律で子供の給油が禁止されているわけではないので、店舗の裁量によるところもあるかと。それでも危険なことには変わりません。
――「エンジンかけたままガソリンを入れるのをやめて（車内で静電気が起きる原因になって炎上しちゃう）」とも書いておられましたが、この他にもお願いしたいことは？
ガソリンを車に給油して、その流れでこっそり携行缶やポリタンク、酷いとペットボトルにガソリンを入れようとすることですね。基本的に給油中はカメラを見ているので怪しかったら給油停止（専用の停止ボタンがあります）します。
あと、灯油をポリタンク以外の物に入れないで欲しいです。ファンヒーターの中の油タンクの缶を持ってきて入れようとするお客様は意外といます。
――そんな人まで！生活インフラとして必要な場所ですし、利用される方々の安全意識の向上や常識的な行動を期待したいですね。
愚痴のような注意喚起でしたが、反響があって嬉しかったです！
なぜ危ないのかがもっと広まればいいのに…と思っていました。同業の方からもコメントをいただいて、「みんな思ってることは同じだなぁ、全国どこにでも子供にやらせる人っているんだなぁ」と苦笑いしました。
なっちゅんさんのお話を受け、日本全国に約6000カ所のサービスステーション「apollostation」を展開する出光興産株式会社（東京都千代田区）に、注意喚起についての取り組みを取材しました。
「お子様は車の中でお待ちください」とお願い
――利用者に「子供の給油」について、どういったご案内を？
出光興産では、セルフサービスステーションが初めてのお客様でも安心してガソリンを入れていただけるよう、公式ウェブサイトで「セルフサービスステーションの使い方ガイド」をご用意しています。
その中で、「給油作業は必ず、運転免許をお持ちの方がおひとりで行い、お子様は車の中でお待ちください」とお願いしています。
――実際にそういった現場の目撃談などは？
事故や事件があった場合は報告をお願いしていますが、これまでにお子様の給油による報告はございません。
――スタッフには「子供の給油」についてどのようにレクチャーを？
apollostationを運営する特販店には、店頭スタッフがサービスステーションの日常業務において、Health（健康）・Safety（安全）・Security（危機管理）・Environment（環境保全）を最優先事項として位置づけ、自サービスステーションの現状確認の徹底を呼び掛ける『HSSEガイドブック』を遵守するようお願いしています。
その上で、お子様の給油を含む危険行為のスタッフの予防教育については、サービスステーション構内・周辺におけるヒヤリハット事例（危険な状況になったものの結果として事故に至らなかったこと）を全てのスタッフから聞き、地図化してハザードマップを作成・共有することや、危険予知トレーニングを定期的に実施することなどをお願いしています。
――ガソリンは低温でも気化するため、目や呼吸器官への影響もありそうです。万が一、直接皮膚に付いても危ないでしょうか？
ガソリンが皮膚に付着すると乾燥や炎症などを引き起こす可能性がありますので、万が一付着した場合はすぐに石けんで洗い流し、異常がみられる場合は医師に相談してください。
――お子様連れの方々はどのようにサービスステーションを利用すべきですか？
給油作業中はお子様は車の中でお待ちいただき、トイレやサービスルーム（自動販売機などがあります）は、お子様にもご利用いただけますので、お車を安全な場所に駐車した上で、大人の方が同伴してご利用ください。
また車両やガソリンスタンド、スタッフのお仕事に興味があったり、お手伝いしたい場合は、弊社がオフィシャルスポンサーとしてパビリオンを出展している『キッザニア東京・甲子園』がおすすめです。「サービススタッフ」として、お仕事体験が可能となっております。
◇ ◇
今回のなっちゅんさんの投稿に、
「させたことないけど、そこまで危険だと考えたこと無かったです。気を付けます」
「原付免許が取れるのが16歳なので、セルフスタンドには『15歳未満の方の給油はご遠慮ください』と注意書きの張り紙が必須ですね」
「そんな人がいるんだと言う驚きと、もしガソリンに触れたらそんなことになるんだって言う二重の驚きでした」
「子供ですから通常だと考えられないケースも起こる可能性もありますね…第4類危険物の第1石油類に指定されているということをたまには頭に入れておいてほしいですね…」
「絶対子供にやらせないし、なんなら車の中で必ず待機させてますが、失明やヤケドの危険は知らなかったので有難いです」
「うちの近所のガソスタには子供を車内から出すなと書かれてます」
など、非常識な行為であることへの理解とガソリンの危険性についてあらためて知ったといったコメントが。
「元同業です。『大人がやってください』と言っても聞かない親がいたんで『跳ね返ったら失明なんである意味虐待ですよ』って言ったらバツが悪そうに代わりました」
「ウチのSSにも子供に給油させない記載が計量機のノズルホルダー周辺にありますね」
「監視員してた時は給油許可出さずにマイクで注意してました」
と、現役スタッフの方や元同業の方からのコメントも。想像以上に「子供の給油場面」に出くわしていることが伝わってきます。
そもそもガソリンスタンドは、死角や車の出入りが多い場所。給油時はもちろん、トイレや休憩など所用がない限り、子供は（チャイルドシート上で）車内待機が望ましいですね。
また、出光興産さんが教えてくれた『キッザニア東京・甲子園』（入場有料）は夏のお出かけ先として、そして子供が正しい知識を学ぶ機会としても良い機会になりそうです。
■なっちゅんさんThreads https://www.threads.com/@natu72725
【出光興産株式会社関連情報】
サービスステーション「apollostation」を全国に展開。スローガン「いろんなa!を、このまちに。」を掲げ、これまでの燃料を給油するだけのガソリンスタンドから、車の販売・買取・メンテナンスサービスをはじめ、コインランドリーやエアコン修理のご相談など、お客様の生活の困りごとや地域の課題を解決する生活支援基地「スマートよろずや」化に向けた取り組みを強化中。皆さんの「あったらいいな」を、公式ウェブサイトからお聞かせください。
■いろんなa!を、このまちに。 https://smart-yorozuya.idemitsu.com/
■セルフサービスステーションの使い方 https://www.idemitsu.com/jp/apollostation/self_ss/use.html
■キッザニア協賛 https://www.idemitsu.com/jp/fun/kidzania/index.html
