週刊少年ジャンプ(集英社)『ONE PIECE』(作:尾田栄一郎)の主人公「モンキー・D・ルフィ」は、現在「四皇」(4人の大海賊の総称)の一角であり、作中ではいまや向かうところ敵なし、といった印象を持つ方も多いでしょう。
しかしそんなルフィも過去には、インペルダウンの元署長(現在は副署長)である「マゼラン」のドクドクの実の能力で瀕死状態に追い込まれたり、元海軍大将の「クザン」のヒエヒエの実の能力で全身氷漬けにされたりと、大敗した経験を持っています。さらに、初期のエピソードには、驚きの方法でルフィを苦境に追い込んだ敵キャラクターたちが存在します。
「新世界編」以前のルフィは、高い戦闘能力を誇りながらも、精神的な攻撃(マインドコントロール)には弱い様子が描かれていました。たとえば、当時クロネコ海賊団の副船長だった「ジャンゴ」の催眠術にかかって崖から落ちたり、眠らされて船首の下敷きになったりして、戦闘不能にさせられています。
さらにコミックス14巻第124話では、元バロックワークスのオフィサーエージェント「ミス・ゴールデンウィーク」が操る特殊な絵の具“カラーズトラップ”によって暗示をかけられ、仲間たちを危険にさらすことになりました。最終的には、ウソップが絵の具のついたルフィの服を燃やすことで暗示が解け、正気を取り戻しています。
そのほかにも、スリラーバーク海賊団の「ペローナ」から、どんな相手の心も虚ろにさせる“ネガティブ・ホロウ”を受けて「もしも生まれ変わるのなら…おれは貝になりたい」と発言するなど、精神的に相当なダメージを食らっていました。
ドラム王国では、動物との頭脳戦に敗北したこともありました。山の上の古城に住む「Dr.くれは」を訪ねたルフィと、麦わらの一味のコック「サンジ」は、山中で巨大なウサギ“ラパーン”の群れに遭遇します。
高熱に苦しむ航海士の「ナミ」を背負っていたルフィは、彼女をかばいながらラパーンとの戦いを続けました。しかし、ラパーンの群れは巧妙にも山の上部で雪崩を起こし、ルフィたちは雪崩に巻き込まれてしまうのでした。
その後ルフィは、雪崩で重傷を負ったサンジとナミを背負って、Dr.くれはの城へ向かいます。城に着いた頃にはルフィは瀕死状態になっており、Dr.くれはと「トニートニー・チョッパー」の治療によって一命を取り留めたのでした。
単純明快な性格のルフィにとっては、精神的な攻撃や頭脳戦は厄介な相手なのかもしれません。特に初期のエピソードには、ルフィが翻弄される場面がたびたび登場しています。最強のイメージが強いルフィにもこんな時代があったのかと思うと、微笑ましくも感じますね。