俳句大会で最高賞に輝いた仏像好きの高校生…「理屈ではない面白さ」、選者が絶賛した取り合わせとは

山陽新聞社 山陽新聞社

 曼荼羅(まんだら)の宝幢如来(ほうとうにょらい)トマト吸ふ―。今秋に開かれた岡山県俳人協会の「第45回俳句大会」で、朝日高(岡山市)1年北川桔梗(ききょう)さん(16)の句が、トップクラスの俳人が決める特選(最高賞)に輝いた。高校生以下の受賞は初めてといい、「好きな仏像とトマトを取り合わせて詠んだ一句が評価され、本当にうれしい」と喜んでいる。

 夏にトマトを食べながら、如来や菩薩(ぼさつ)が整然と並ぶ曼荼羅を眺める場面を描いた。宝幢如来は装飾を付けずに赤色の布を羽織った姿。「宝幢如来のシンプルな美しさや素朴さが夏の季語のトマトと重なった。種が詰まったトマトの断面は曼荼羅のようにも見える」と独自の視点で句を編み出した。「吸ふ」と表現したのは「新鮮な果汁感を出すため」という。

 北川さんが俳句を始めたのは4月に同高文学部に入部してから。受賞作は6月ごろに作った。

 俳句大会(10月、岡山市)は協会の会員や一般、高校生ら220人から計1014句が寄せられた。北川さんの句は、山陽俳壇選者の岸本尚毅さん=岡山県和気町出身=が選んだ特選全2点のうちの1点。岸本さんは「曼荼羅は宇宙を象徴するようなもので、その中にトマトを吸う1人の人間がいる。何か理屈ではない面白さを感じた」と評した。

 「これからも仏像にちなんだ句をたくさん考えたい」という北川さん。「もっともっと上達したい。仏像の彫刻にも挑戦して句に生かせれば」と創作意欲を高めている。

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