兵庫・大阪を中心に駅弁を販売する「神戸駅弁 淡路屋」(@awajiya1682)が、5年前から挑戦していた取り組みがXで注目されました。
同社には、「ひっぱりだこ飯」という蛸壺を模した陶器の駅弁があります。この弁当容器でも蛸壺漁ができるのではないかと、2020年から毎年蛸壺型容器で蛸壺漁にトライしてきました。
ところが4年間は1匹もタコが入ることなく、いわゆる「坊主」状態。それが突然、今年は16匹以上のタコが入っていたというのです。興奮で思わず「こんなこと、ある!?」とポストした副社長の柳本雄基さんにお話を聞きました。
──そもそもなぜこのような取り組みを始めたのですか?
蛸壺漁は、副社長である私がひとりで始めた取り組みです。「蛸壺を模した陶器」という謳い文句は20年以上も前からつかっているのですが、本当にタコが獲れるのでは?と、以前より興味がありました。
そんななか、コロナ禍になり売上が低迷しまして、なんとか話題作りをして皆様に忘れられないようにすべく、以前から温めていたこのネタを実行することにしました。
──今回は、リリースした100グラム以下のタコも含めれば20匹以上入っていたとか。
本当に嬉しかったですね。思わず「うそやろっ!」と言ってしまいました。もう5年もやっていたので、「獲れるわけがない」という風に思っていたのかもしれません。しかも次から次へと。合計16匹も上がって、大喜びです。漁師さんも含めて、参加した全員が満面の笑みを浮かべて、蛸壺を引き上げていました。
──船の上の盛り上がりが伝わります!急にたくさん獲れた理由はなんだと思われますか?
2020年から毎年60〜80個沈めてきましたが、通常の壺はもちろん、毎年違う色の壺を沈めてみたり、漁港を変えてみたり、壺を沈めるスポットを変えてみたりと、試行錯誤してきました。
今年はいろいろ分析して、これまで以上に蛸がいるであろうスポットを漁師さんに教えていただいたことが成功に繋がったのかもしれません。これについてはハッキリとした理由を分析し切れていないので、これから調査していくところです。
──「ひっぱりだこ飯の壺は、小さいマダコの住処になり得ることが証明されました!」が、まだ取り組みは終わらないとポストされていました。
この蛸壺が、蛸の住処になるのであれば、近年不良である明石ダコの保全のために何かしらの取り組みが出来るのではないか?と思案しています。
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ちなみに今回獲れた16匹のタコは冷凍してあり、近々社員さんたちと「ひっぱりだこ飯」にしていただく予定だそうです。
■駅弁「ひっぱりだこ飯」とは
1998年4月5日に、明石海峡大橋開通記念として誕生。明石の伝統漁法「蛸壺漁」で使用する蛸壺を模した陶器に、マダコの旨煮や穴子煮、椎茸や竹の子がごはんの上に盛り付けられる。茶色の通常壺のほかに、金色・銀色・迷彩・キティなど壺の種類が続々増加中。
■今後の明石ダコ保全の取り組みは「神戸駅弁 淡路屋」のXで発信→https://x.com/awajiya1682