戦前から戦後の生活をおさめた家族アルバムを古書市で発見!美しい「照代さん」の四半世紀に注目集まる

青島 ほなみ 青島 ほなみ

スマートフォンの普及により、思い出の写真を集めた家族アルバムをめくる機会も減るかもしれません。しかし、ずっしり重く分厚いアルバムを1ページずつめくって懐かしい思い出にひたる時間は、デジタルでは味わえないものです。

今、SNSではそんな家族アルバムが、古書市で売りに出されていたという投稿が注目を集めています。

「古書市に行くと家族の古いアルバムがよく売りに出ている。
どういう事情で手放したのかわからないし、他人の家庭に興味もないのでほとんど見ないが、先日偶然手に取ったものに強く惹かれた。」

投稿されたレトロな白黒写真の数々は、ひとりの女性の誕生から成人するまでのさまざまなシーンをおさめたもの。戦前の豊かな暮らし、一転した戦時下の厳しい状況がうかがえます。

投稿主である、オンライン古書店mondo modernを運営する長澤均さんに話を聞きました。

ーー今回、この投稿されたきっかけを。

長澤:SNSに投稿してよいのかはかなり迷いました。ご本人が90代でご存命の可能性もあるのと、どういう事情でこんな立派なアルバムを処分されたのかわかりませんので。一方、もしかして投稿で御本人か家族のもとにこの情報が届くかもしれないとも思いました。もし、ご連絡取れるようなことがあればお返ししたいと思います。

ーー古書市ではこんな個人的な家族アルバムも売りに出されているのですね。

長澤:一般に入れる古書市でも都内のものでは、家族アルバム等は以前からよく出ています。「昭和レトロ」とかレトロブーム的なものが長く続いていますが、そうした流れで古い写真が売れるということがあるのだと思います。あとは核家族化で生涯独身者も増え、次世代に持ち物を継承してもらうことができないという事情もあるのでしょう。2000年代に入り、社会全体が右傾化しつつある中、「昔の日本は美しかった!」という感じで古いアルバムが売れるようになり、古書業者も仕入れているような気がします。

ーー今回投稿されたアルバムは、どのような経緯でお手に取られたのでしょうか?

長澤:ひときわ厚いアルバムで存在感がありました。なかなかこんなアルバムは古書市に出ません。値段も他のアルバムよりもずっと高いものでした。ページをめくるとスターのブロマイドが挟まれていて、そこからアルバムページを見ると、あのような写真だったわけです。

被写体の「照代さん」の可愛らしさや裕福そうな雰囲気に驚きました。しかも1歳のときから、おそらく20代半ば過ぎくらいまでが照代さん中心でまとめられていました。戦前、戦中、戦後での生活の変化等も見て取れてとても興味をひかれたのです。

ーー多くのコメントが寄せられていますが、印象に残っているものはありますか?

長澤:照代さんの書から名前を検索し、弟さんのことなども突き止めたという投稿が印象に残っています。私はあまり個人的なことに踏み込みたくないほうなので、何人かの方がわざわざリサーチされたということには驚かされました。

◇ ◇

「節目ごとに写真館に行かれていて愛されて育てられたのでしょうね。素敵なお写真を見ることができました。」
「戦前の日本を知る貴重な資料として、是非、丁重に扱い、保存していただきたいと思います。」
「素敵な写真ばかり。ご家族の元に戻りますように!できればご存命であってほしい!」

など数多くの反応が寄せられた今回の投稿。みなさんはどのように感じたでしょうか。

なお今回話題を提供してくれたの長澤さんは、オンライン古書店mondo modernの運営の他、ファッション史を中心に著書があり、グラフィック・デザイナーとしても活躍されています。11月には、新著も出版予定とのこと。ご興味ある方はぜひ長澤さんのXアカウントをチェックしてください。

長澤均Xアカウント:https://x.com/mondo_modern

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