“グローバルビジネスで通用する”英語力を持つ日本人はわずか7%――そんな調査結果が株式会社レアジョブ(東京都渋谷区)の法人向け事業子会社「株式会社プロゴス」(東京都渋谷区)による「日本人の英語スピーキング力」に関する調査で分かりました。
調査は、AIビジネススピーキングテスト『PROGOS』の4年分の受験データ(2024年5月末時点で世界77の国・地域の大学や企業などのべ66万人、うち日本人42万人)を分析したといいます。
その結果、日本人のスピーキング力を国際的な言語力指標である「CEFR(セファール)」レベルでみると、英語で業務できるレベルに満たない初級程度「A2High」が最も多く、グローバルビジネスで通用する「B2」以上のレベルはわずか7%にとどまることが分かりました。一方、海外受験者の最多レベルは「B1High」、「B2」以上は4分の1を超えており、日本人のスピーキング力の低さが明らかとなりました。
業務で英語を使うのに最低限必要なレベル「B1」、英語で責任ある仕事ができるレベル「B2」を職種別で分析したところ、「B2」以上のレベルの割合が多い職種は、「人事・採用」「コンサルタント」「マーケティング」などが上位となったものの、「学生」が最もスピーキング力が高いという結果となりました。
また、一般社員から代表取締役までの役職別に「B2以上」のレベルの割合をみると、「取締役・役員」が最多に。「B1以上」の割合では、「一般社員」が47.9%と最も少なかったのに対し、「管理職」と「役員」は軒並み半数を超えました。
さらに、受験者数が特に多かった、「IT・インターネット」「コンサルティング」「メーカー(メディカルを除く)」「エンターテイメント」「メディカル(医薬品、医療機器)」「運輸・交通」に絞り「B1以上」のレベルを分析したところ、「コンサルティング」が60%以上と、他の業種と比較して英語力が高いことが分かりました。
なお、グローバル関連の事業・業務を行う部署と、企業全体のレベルを比較した結果、グローバル関連の部署の方がスピーキング力はやはり高いものの、グローバルビジネスで通用する、つまり責任のある仕事ができるレベルの「B2以上」の人はわずか1割程度であることが分かりました。
最後に、英語を学ぶビジネスパーソンの多くが受験しているTOEIC L&RとPROGOSの両方を受けた6万9350人の受験データを分析し、CEFRレベルを共通の尺度として比較した結果、リスニング力とリーディング力が「B2以上」の人でも相応のスピーキング力をもつ人はわずか18%にとどまり、リスニング・リーディング力が高くても、スピーキング力が高いとは限らないことが分かりました。
これらの結果から同社は、「日本企業のグローバル展開への動きが活発になっているにもかかわらず、それを担うべき人材の英語力、特にスピーキング力が追い付いておらず、語学力の面でもグローバル戦略の実効性を裏付ける人材の育成・確保の必要性が浮き彫りになった」と指摘しています。