手術や入院など「命」に関わる場面でも、頑なに「ネイル命」な患者がいるという。
「外来で何度も医師から (手術のための)入院の時はジェルネイル取ってくるように説明されるが返事せず…。結局ジェルネイルは取らず、手術のために薄いジェルネイルにわざわざ変更してきたそう…。塗り直すなら、落としてくれればいいのに…なんで そんなに頑ななの?」
X(旧Twitter)にそうポストしたのは、手術現場で働く看護師、緑茶。(@remifentanil82)さん。
爪にジェル状の樹脂を塗り、UVやLEDライトで硬化する「ジェルネイル」は、除光液ですぐに取れるマニキュアと違い、オフの際に手間と時間がかかるため、事前に取っておく必要がある。
「こだわりが強いのだなとは思いますが、手術という非日常なんだから、妥協して欲しいです」と、ポストしていた緑茶。さんの投稿に対して、2万5千以上のいいねがつくとともに、医療従事者から共感の声が殺到した。
ジェルネイルのまま入院しないで…
「あるあるです…。なので、ジェルネイルしてる人は入院してほしくないです。マニキュアなら、説明して許可取って除光液で落とせるから許す」
「ジェルネイルしてる女性がER搬送され、取るなら死ぬと言い始め、Dr.が優しく『命とどっちが大事?』と諭そうとしたら速攻で『ネイル』と答えられ、本気ギレしたDr.が『出てけ!二度と来るな!』となりカオスになった記憶が…」
「どうしても爪にこだわる方いますよね。医療側はもちろん配慮できることは最大限しつつ、命の安全より重要なら手術をしない、という選択肢を提示してもいいのではと個人的には思います…」
コメントのなかには、「なぜジェルネイルがダメなのかがわからないからでは?」という声も見受けられたが、実は「命」に関わるネイルを取るべき理由について、緑茶。さんに聞いた。
◇ ◇
命に関わる「爪」の状態
ーーなぜ手術や入院時にネイルがNGなのですか?
「まず指先を観察するためです。急変時に備えて、爪の状態、爪の色、爪の下の皮膚の色を見せていただきたいです。他にも、血中酸素飽和度(SpO2)を指先で測定するため、ネイルがあると血中酸素飽和度(SpO2)が測れなかったり、正確でなかったりします。血中酸素飽和度が測れないと、体に十分な酸素が行き渡っているのか、判断しづらいです」
ーー足の爪の「ペディキュア」も取るべきですか?
「取ってもらいたいです。指先だけでなく足先の色も確認します」
ーーネイル以外にNGなものは…?
「化粧、ピアスや指輪などのアクセサリーやベルト、入れ歯(部分入れ歯も含みます)、ウィッグやかつら、湿布や絆創膏などは必ず外してください。あと、『気管挿管チューブ』を固定するため、手術前はヒゲを剃ってください。ヒゲってテープがつかないんです…」
ーー爪の血色が悪くなっているのを見逃したために、障害が残ることもあるそうですね。結局この患者さんはわがままを通して手術したそうですが…。
「今後の対応などについては、看護師だけではなく、他部門で話し合っていく必要があると思いますが……やはり、医師や看護師が必要だと判断したことに対しては協力していただきたいです」
◇ ◇
ジェルネイルを取りたくない側の意見として、「オフにお金がかかる」「爪の形にコンプレックスがある」「ジェルをし続けてると自爪が薄くなり、見た目も汚いから」といったコメントも見受けられた。
自身の命と安全のためには、入院中や通院中は健康な体と自爪を取り戻す期間、と考える方が賢明ではないだろうか。