毎晩23時にXに投稿される「問題」。なぞなぞとも少し違う、絵本のような優しいイラストが添えられた問題は、少しのひらめきと優しいヒントで、苦手な人でも解きやすいものばかり。決まった時間の投稿に癒される人も多いのではないでしょうか。答えが分かった人は「おやすみ」とリプライを送り、今日1日を終える。そんな活動をする、なぞのデザイナーさんにお話を聞きました。
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――なぞなぞと、クイズと、謎解き…いろんな問題がありますね。
なぞのデザイナー:あくまで僕の見解ですが、クイズは知識を問われるもの。なぞなぞは屁理屈に近くてカジュアルで面白いものです。謎解きは高度な知識などは使わず、一般常識の範囲内でひらめきや発想力を問う感じです。僕が出題しているのは、色々なジャンルの先入観にとらわれて欲しくなかったので、全てをひっくるめて「問題」と言っています。
――毎晩23時にXでポストする理由は?
なぞのデザイナー:少し前に問題を集めた書籍を出版したのですが、まず最初に出版社の方から連絡があって、担当の方から「夜が似合いそうですね」と言われたのが印象的でした。そこから10日くらい考えてたんです。夜か…と思いながらXのタイムラインを見ていたら、マイナスなニュースが沢山あって、なんか損した気持ちになりました。そこから、寝る前にポジティブな何かがあれば気持ちよく眠れるかなと思って、23時の出題を始めました。
――懐かしく癒される問題が多い印象です。
なぞのデザイナー:生々しいものを入れないようにしているからですかね。あと、時期のものを入れないこと。ゴールデンウィークが回答になる問題を作ることもできるのですが、それだとゴールデンウィークに休めていない人が悲しい気持ちになりますよね。もっとホラー要素などを使った問題もあるのですが、見た人が嫌になる可能性を考えると、出したくないんですよ。極力、食べ物や動物、文字などを使って問題を作るようにしています。
みんなが知っていることでどれだけ遊べるか、を考えると誰とでも楽しく遊べていいですよね。迷わせたいわけでも、悩ませたいわけでもなく、ただスッキリ感を味わってもらうのが、作問で一番大切にしているポイントです。
――「解けた人は”おやすみ”とポストしてください」とも。
なぞのデザイナー:いま自分も一人暮らししているのですが、寝る前って誰しも孤独だと思うんです。でもみんなで1日を終える前に挨拶ができれば一人じゃない感じがして、ちょっと幸せなんじゃないかな。自分が元々とてもマイナス思考で、あー明日が来るのいやだなって思うタイプなんですよ。誰かに「今日はもう終了!おつかれさま!」って言って欲しかった。そのまま今日がマイナスで延長していくのと、問題が解けて嬉しい気持ちで終わるのでは、天地の差があるんじゃないかなと思ってます。
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なぞのデザイナーさんは今年4月に問題集「gas lamp 今日を“いい日”で終えるための問題」(KADOKAWA)を上梓。「辛いことがあった時にページを開けば気持ちが軽くなるような本になればいいなと思っています」ということなのでご興味ある方はぜひ手に取ってください。
毎晩布団の中で、失敗や後悔を思い出してしまい、悲しい気持ちで眠れなくなる人も多いのではないでしょうか。そんな時に、小さな謎解きで意識を変える。問題を解いて、知らない人とおやすみの挨拶をすると、寂しさも薄まる気がします。1日を気持ちよく終えるための謎解き。なぞのデザイナーさんの活動が、今後も楽しみです。
「gas lamp 今日を“いい日”で終えるための問題」(KADOKAWA):https://www.amazon.co.jp/dp/4046067829/