株式会社識学(東京都品川区)は、このほど「ゆるブラック」に関する調査の結果を発表しました。同調査によると、自身の勤める会社に対して「“ゆるブラック”だと思う」と回答した人は4割弱となりました。また、“ゆるブラック”だと思う理由については「収入が増えない」が最も多くなったそうです。
調査は、従業員数10人以上の企業に勤める全国の20~59歳の会社員を対象として、2024年4月にインターネットで実施され、有効回答数はスクリーニング2353人、本調査300人でした。
その結果、自身の勤める会社に対して「“ゆるブラック”だと思う」と回答した人は37.8%となり、性・年代別で比較しても大きな違いはみられませんでした。
自身の職場が「“ゆるブラック”だと思う」と答えた人に、その理由を複数回答可で聞いたところ、「収入が増えない」(67.0%)が最も多く、次いで「やりがいを感じられない」(44.0%)、「昇級できない・しづらい」(43.0%)といった回答が続き、「収入」と「やりがい」の差は23.0ptもの開きが見られたことから、給与面での不満の蓄積が自身の職場をゆるブラックと感じさせる要因になることがうかがえました。
具体的には、「残業が制限されていて稼ぐことができない」(32歳男性/品質管理・検査)、「給料の金額の決め方が曖昧で不平等のため能力に見合った金額を貰えていない」(36歳女性/事務・総務)といった給与面や待遇に関する意見がみられました。
そのほか、「転職に活きるようなスキルは身に付かない」(38歳男性/研究・開発)、「やりがいのある仕事をなかなか任せてもらえない」(48歳女性/人事・労務)などの自身の成長やスキルに関する意見や、「資格取得などの自己研鑽に対する福利厚生や手当などがあまり充実していないので、モチベーションが湧かない」(28歳女性/事務・総務)、「働きやすい環境だけど昇進は望めないし仕事自体にやりがいがない」(50歳女性/人事・労務)といったモチベーションに関する意見が寄せられました。
続けて、「今の会社で働き続けたいと思いますか」と聞いたところ、「働き続けたい」と回答したのは41.0%でした。また、「“ゆるブラック”な職場環境であるために転職を考えることはありますか」という質問には、「すでに転職を決まっている」(3.0%)人も含め、転職の意向がある人は60.7%となり、職場環境が“ゆるい”ことは社員にとってプラスには働いていないことが明らかとなりました。
なお、マイナスだと思う人からは、「人材が育たないし、人離れしていく」(53歳女性/財務・会計・経理)、「やる気のある人がどんどん辞めていく」(42歳女性/事務・総務)、「要領の良い人だけが生き残る」(56歳女性/事務・総務)といった意見が目立ちました。
一方、プラスだと思う人からは、「働きやすい」(50歳女性/事務・総務)、「若い子が子育てと両立しやすい環境だから」(50歳女性/人事・労務)、「人件費削減になっているから」(29歳女性/財務・会計・経理)などの声も寄せられました。
では、どのような点が改善されれば、“ゆるブラック”が改善されるのでしょうか。複数回答で答えてもらったところ、「福利厚生の充実」(31.3%)、「明確な評価制度」(30.7%)、「キャリアアップが見込める」(29.0%)といった回答が上位に並びました。
また、“ゆるブラック”を改善することに有効な点として挙げられた「評価制度」について、「自身の職場にある」と回答した人は55.0%で、そのうち、「評価制度に納得している」人は33.9%、「納得していない」人は66.1%となりました。この結果から、やはり自身の職場を“ゆるブラック”だと感じるのは「評価制度」の有無と、その納得感が関係していることがうかがえました。
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同社は、「企業側は求めるものを明確に提示し、アウトプットに対して、時には厳しい評価を下す必要もあります。それによって従業員は自分の不足を認識し、不足を修正する行動を取り、出来なかったことができるようになっていく過程で、自身の成長実感に繋がるのではないでしょうか」と述べています。