仕事上のあり得ないミスを競う「事務ミス選手権」なるハッシュタグがX(旧ツイッター)でトレンド入りする中、ひときわ目を引く投稿がありました。
「ぼーっとしながらシュレッダーかけてたらネクタイがシュレッダーに吸い込まれた。首が締まって『ヴッ』と声にならない声をあげたら滅多に焦らない課長が気づいて飛んできてハサミで切ってくれた。フロアで大騒ぎになった」
このハプニングを投稿したのは神奈川県在住の会社員、simizarさん(33)。写真には下半分が無惨に細断されたネクタイが写っており、驚く人が続出。投稿には12万を超えるいいねがつき、現在も拡散中です。投稿者さんに話を聞きました。
「戒めとして…」巻き込まれたネクタイをしばらく保管
simizarさんによると、オフィスにある業務用シュレッダーにネクタイが巻き込まれたのは2015年3月のこと。「社会人3年目でちょうど緊張が緩んできた時期です」。異変に気付いた課長は瞬時に駆け寄ってきて、ネクタイの首まわりなどをハサミで切断し、simizarさんを救助。無事を確認すると、驚きながらも大笑いする余裕まで見せ、その後1年ほどは「いじられ続けました」。同僚からも「おっちょこちょい認定」され、「先輩からもことあるごとに『頼むから作業気をつけてね』と言われるようになりました」。
simizarさんはこの出来事以降、シュレッダーを使用するときには、(1)必ずネクタイピンをすること。もしくはネクタイを外すこと(2)作業中はよそ見をしないこと(3)停止ボタンの位置は目をつぶっても押せるくらい確認することーーに気をつけているといいます。
巻き込まれたネクタイは、「戒めとして」会社の机の目につく場所に置き、1年ほどして処分したそうです。慎重に行動するようになった成果なのか、こんなことも。「この事件の後に労働安全衛生委員を1年間務めました」(simizarさん)
simizarさんはSNS上での反響の大きさに対し、「Xはかれこれ10数年続けているのですが、特に何も考えずに投稿したものがこれほどの反響になるとは思わず、大変驚いているところです」。さまざまな反応があることについては「シュレッダーそのものを否定する意思はない」とし、「今回の件は正しい使い方をしていなかった私に100%落ち度があります」と反省の弁を述べました。
「同じ経験ある」「ネックストラップも危ない」反応続々
ネット上では課長の行動に「一瞬で飛んできた課長すごい」「とっさに動ける人えらい」「課長さんがグッジョブすぎる」「課長ナイスプレー」「命の恩人ですね」などと絶賛する声が上がっています。
また、ヒヤリとした経験のある人も多かったようで、「これ結構頻繁に起こるんですよね」「同じ経験ある。まじで危険。ネクタイは本当に気をつけて」「いつも社員証を巻き込みそうになる」「アクセサリーや長い髪の毛にも気をつけて」「ネックストラップも危ない」「ネクタイで作業するときは、ネクタイの先はシャツの中に入れて」など、予防策につながりそうな意見も数多く寄せられています。
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経済産業省は2006年、幼児らがシュレッダーに指を挟まれる事故が相次いだことを受け、業界団体に再発防止策の検討を要請。ビジネス機械・情報システム産業協会と全日本文具協会は「シュレッダ可動部の安全に関するガイドライン」を公開し、子どもの使用を禁止することや、投入口には「手、衣類、髪の毛、社員証、ネックレスなどの巻き込み注意」の警告表示をすることなどを業界の基準としています。