「雪が降る寒い日」店の前に段ボール箱ごと猫を遺棄 「猫カフェだからと安易な考えで置いた?」オーナー困惑

渡辺 晴子 渡辺 晴子

「捨て猫をされました。
朝、お店に来たら店の前にダンボールが置いてありました。
中には猫さんが…信じられない思いです。
今日は雪が降る寒い日。トイレも水もご飯もなく狭いダンボールに閉じ込められていました。」

店の前に段ボール箱ごと猫が遺棄されていたことを、福岡の猫とうさぎカフェ「クリームシャンティ」さん(@cremechantilly_honten)が動画とともにInstagramで報告。投稿には「猫カフェだからと安易な考えでおいたんでしょうが、ありえない」「猫を捨てるぐらいならせめてちゃんと里親さんを見つけて欲しい」「保護して下さりありがとうございます」などとコメントが殺到、話題になりました。

「クリームシャンティ」さんによると、1月23日午前9時半ごろ、出勤した店のオーナーさんが店の前に段ボール箱が置いてあるのを発見。段ボール箱のふたがガムテープで止められており、テープをはがして中を開くと洗濯ネットに入った猫がいました。

「段ボールの中には猫さんが…信じられない思いです。この日は雪が降る寒い日。段ボール箱の両端に穴が開いていて、そこが通気孔にはなっていたようです。ただトイレも水もご飯もなく狭いダンボールに閉じ込められていました。ガムテープで厳重に止めて、猫さんを洗濯ネットに入れていたのは、店の前が3車線の交通量の多い道路なので飛び出ないようにしていたのでは…。中の猫さんは威嚇することもなくとてもおとなしくて。おそらく知らない場所に知らない人がいて、怖かったのだと思います」(オーナーさん)

捨てられた猫は健康だったが、避妊手術の抜糸をしていなかった…

そして遺棄があったことを、すぐに警察に連絡。駆け付けた警察官から段ボール箱が置かれていた状況を聞かれたり、箱などを調べられたりしたとのこと。翌日の24日には、動物病院へ連れて行ったといいます。

「性別は女の子でした。けがもなく、猫エイズ・猫白血病の検査は陰性。とりあえず健康で安心しました。ただ避妊手術の抜糸をしていなかったようで、残っていた糸を取ってもらいました。診察の間は暴れたりせず、シャーも言わずにとってもお利口さんで賢い猫さん。雪の日に来てくれたので、ゆきちゃんと名付けました」(オーナー)

ゆきちゃんはカフェで保護され、現在ケージの中で落ち着いて生活をしていますが、人間の姿を見るとシャーと言って怖がってしまうとか。まずは環境に慣れてもらうとともに、人なれさせてからゆきちゃんの今後を考えるそうです。

   ◇  ◇

遺棄はダメ! でも飼い猫を手放さないといけない状況になったら…どうする?

店の前で猫の遺棄があったことについて、カフェのオーナーはこう訴えます。

「雪が降るほど寒くなる時期によく相談されるのが、近所の猫や見かける猫が『寒くてかわいそうだから保護できないか?』というもの。そこから想像すると、今回のケースは地域猫を保護して捨てたのか、避妊手術後に寒いからかわいそうと思ってリリースできず捨て猫にしたのか…もしくは、避妊手術をしたサクラ猫を飼い猫にしたのに捨ててしまったのか…真実は分かりませんが。地域猫ならば、住んでいた場所を離れて違う場所に捨てれば生きていくのは困難ですし、飼い猫であれば、どんな事情があったにせよ飼った人間の責任として終生飼育、それができないのであれば新しい飼い主を探しをしなければいけません。

ただ、長い人生の中でどんな人でも何が起こるかはわかりません。治らない病気にかかった、生活困窮などで飼えなくなった、一人暮らしで身寄りがない孤独な方がもう先が見えなくなって誰かに相談しようと思っても、ボランティア団体は相談しても皆さん既に保護した猫で手一杯の場合が多いですし。保健所、行政に相談しても、預かりはできないので、殺処分、保健所行きをすすめるしかない。保健所から動物愛護センターに行っても運良く飼い主探しをしてもらえる場合は少なく、殺処分になることがほとんど。孤独になった方が泣く泣く捨てる場合もあるかもしれません。もちろん捨てるのは犯罪で絶対にしてはいけません。

このようなことが起きないために、猫を飼うときは万が一の時の『継承飼い主』を探して約束しておく、身内が周りにいない場合は『ペット信託』(※)にお願いしておくといった準備をしておく必要があると思います。猫は捨てられても物として扱われ、飼い主が見つからなければ保健所行きになり、法律では命を守られません。本当に猫を守るためにはどうすればいいのか。私たちが社会問題として考えていく必要があるのではないかと感じました」

※ペット信託…飼い主の死亡などに備える信託契約。新たな飼い主によって飼育が継続され、費用はあらかじめ財産を渡された家族などが支払うもの。

飼い犬や猫などの遺棄。2020年6月に施行された改正動物愛護法により、飼い主がペットを捨てた場合、これまで100万円以下の罰金刑だけでしたが、1年以下の懲役刑が加わり、厳罰化されました。犯罪です。大切な命を捨てないでください。

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