「記録面が蒸発した!?」 DVDの不思議劣化に衝撃「どこの国製?」「保存に適した温度湿度は?」

中将 タカノリ 中将 タカノリ

DVDの劣化がX(旧Twitter)上で大きな注目を集めている。

きっかけになったのは埼玉県越谷市の古書店・すずめ出版古書部(@suzume_kosyo)による「DVDの検品中に奇妙な劣化が認められたため、後世に遺す意味でもスレッド投稿します。まずは劣化の状態をご覧ください。データ記録面の一部がまるで蒸発したかのように消えて無くなり、現在は再生不可能となっています。こんな劣化を見るのは初めての経験。」など一連の投稿。

データ記録面の半分以上が透明になってしまったこのDVD。台湾プレスで2009年に国内メーカーからリリースされたもので、他のDVDと一緒に直射日光の当たらない一般的な環境で保存していたが、なぜかこれだけがこんな状態になってしまったそうだ。

CDやDVDなどの光ディスクが経年劣化することは知られているが、まさかこんな風にきれいさっぱりデータが消え去ってしまうとは…。

今回の投稿に対し、Xユーザー達からは

「流石にここまでの劣化は初めて見ました。こんなに透明になるんですね」
「アルミ蒸着膜が腐食で蒸発とかしたんでしょうねえ…」
「以前、オーディオメーカーのエンジニアでDVDプレイヤーの設計していて、各国の市販DVDを大量にテストしてましたが、台湾、中国の怪しいやつは、いきなり一層二層の間が剥離したかのようになったり、再生できなくなるのありました。日本発売のSACDも初期のは、販売すぐになって回収もありました。」
「CDでははげてしまったアルミ層のところにアルミテープで復活した事例があるようです。今回のは面積も広くDVDのため適用できなさそうですけれど、何かの参考になりましたら。ちなみにプレスのディスクはポリカ層にピットが刻まれていてアルミ層は単なる鏡です。」
「これは少し前のプレスCDなどでよくみられる劣化です 素材と環境が原因で記録面の金属素材が蒸発したかのように劣化し、ポリカのディスクが透けてしまうので当然再生不可になります プレスCDは素材によってはCD-Rよりも短寿命になります 保管は紙製ライナーは抜き湿度と紫外線を避けた方が良いです」

など数々の驚きの声や情報提供が寄せられている。

投稿者に聞いた

すずめ出版古書部代表の山田鍵さんに話を聞いた。

ーーこのDVDをご覧になって。

山田:なにせ初めてのことでいささか狼狽しております。これまで他のCDやDVD(R含む)でレーベル面の印刷が剥がれたりという経験はありましたが、このように綺麗さっぱり消失した現象は初めて。しかもお気に入りのDVDだったのでなおさらです。万物に永遠はなく、色即是空、諸行無常を感じました。

ーー劣化の原因、対策について分かったことはありますか?

山田:劣化の原因に関しては正直、今もって不明です。ただし有益と思われる情報は集まっています。対策に関しては、こちらもどのようにしてよいかわかっていません。もともと保存方法に関しては直射日光が当たらず高温多湿でもない場所で、トールケースに入れ暗所にて定期的に換気しつつ保存していたので、そこまでマズい保存方法ではないと思っています。劣化したDVDに関しては、下手に修復を試みて失敗しても嫌なので記念にそのままとっておいてます。

ーー投稿への反響について。

山田:ある程度のリポスト、いいねがつくことは予想していましたが、ここまでバズるとは思いませんでした。さらにこうしてニュースサイトに引用依頼があるぐらいですし、記録メディアへの関心の高さが窺えます。これをきっかけに弊店に足を運んでくれる方が増えたらいいなぁ……。

◇ ◇

光ディスクは最適の環境で最長100年、普通の環境なら10〜30年が保存期間と言われている。温度、湿度の変化を避け、摂氏4度~20度、湿度20%~50%の環境、専用ケースに入れ立てた状態で保管することが推奨されているが、製造時の問題もあるので「こうすれば絶対大丈夫」と言い切れないのが悩ましいところだ。読者のみなさんがお持ちのCDやDVDに劣化は見られないだろうか?

なお今回の話題を提供してくれたすずめ出版古書部は世界初にして唯一の「ビデオゲーム」「麻雀」「性愛」中心の古書店。さらに、同店舗内で運営している独立系出版社・すずめ出版は、商業出版にはない独特かつ大変ユニークな書籍を定期的に刊行している。ご興味ある方はぜひチェックしていただきたい。

すずめ出版古書部 店舗概要
住所:〒343-0807 埼玉県越谷市赤山町4-7-2 富士ショッピング内
営業時間:12:00〜21:00(毎週金曜日は12:00〜29:00までで23:00からは【夜のすずめ出版古書部】として営業)
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