「は・か・た・の・しお!」長年“不明”だった初代声優と作曲者ついに公式認定 実は4年前に当サイトで既報→担当者に経緯を聞いてみた

黒川 裕生 黒川 裕生

「は・か・た・の・しお!」という力強いサウンドロゴで知られる伯方塩業(愛媛県)の看板商品「伯方の塩」。2019年にWeb限定の「二代目声優オーディション」が企画されたのがきっかけとなり、「初代に何かあったのか?」「そもそも初代って誰?」という話題でひとしきり盛り上がったのを覚えている人もいるだろう。今月、同社の創業50周年を祝うイベントが開かれ、なんとその会場で、同社が長年「不明」としてきた初代声優と作曲者の名前が公表された。初代声優は塩谷信廣さん、そして作曲者は浦田博信さん。いずれも関西を拠点にするミュージシャンである。

1970年代前半からスタジオミュージシャンや作編曲家として活躍してきた浦田さんが「は・か・た・の・しお!!!」を制作したのは1987年。当時、企業CMを多い時期で月に7、8本作っていたといい、この曲はわずか数分でできたそうだ。「録音自体も10分程度で終わったと思う。塩谷さんがブースから出てきたときの第一声は『こんなんでええんか』でした」と浦田さんは振り返る。

一方、ボーカリストとしてシャウト系の仕事を得意としていたという塩谷さん。関西ローカルの有名CMを多数担当しており、「一時期、大阪で作られたCMの半分くらいは僕の声だった」と豪語するほどだ。「は・か・た・の・しお!!!!!」に関しては「正直そんなに思い入れがあったわけではないですが、長いこと使ってくれてるなあとは思っていました」と感謝する。

50周年記念イベントでサプライズ

11月4日に同社の大三島工場で開かれた50周年感謝祭には、“サプライズ”で浦田さんが登壇した(塩谷さんは体調不良で欠席)。特設ステージに立った浦田さんは、持参したウクレレを手に、自身が手掛けた「においひかえめなっとういち」や「VC-3000のど飴」などの有名CMソングをメドレーで披露した後、満を持して「は・か・た・の・しお!!!!!!!」を炸裂させ、喝采を浴びたという。

後日、浦田さんに取材すると、「4年前は“非公式”の立場でしたが」と笑いつつ、「あのような場所にお招きいただき本当に光栄。『伯方の塩』は僕が作ったサウンドロゴの中で、現在も使われているものとしては一番古い。こんなにも長く愛していただけて幸せです」と、喜びもひとしおといった面持ちだった。塩だけにね。

初代声優と作曲者、4年前に当サイトが報じる

さて、実は当サイトでは二代目声優オーディションが行われた2019年の時点で、初代声優が塩谷さん、作曲者が浦田さんであることを突き止め、記事にもしている。

【当時の記事】https://maidonanews.jp/article/12392014

しかし伯方塩業は記事が出た後も「CMを作った代理店と制作会社はすでに倒産しており、資料も残っていないため特定は難しい」との姿勢を崩さなかった。

今回、2人を「公認」したことについて、同社の広報担当にあらためて経緯を尋ねた。

「2019年の二代目声優オーディション企画がマスコミに多数取り上げられた後、作曲・声優は自分だと名乗り出る人が複数いらっしゃいました。しかし残念ながら特定する材料がなく、踏み込んだ調査をすることはできませんでした」

一方、同社はあのサウンドロゴを使ったCMに一時期、演歌歌手の高城靖雄さんを起用。「スペシャルバージョンのイメージキャラクター」という位置づけだったらしいが、ここ最近、息子で歌手の新浜レオンさんの活躍もあり、高城さんの名前が伯方の塩と結びついてまた広く認知されるようになってきたという。

「このまま静観していると、高城さんが『初代』だという誤ったイメージが定着する恐れが出てきたため、真実を明らかにする必要性が高いと判断しました。当社の断片的な資料や当時の関係者らの記憶などを突き合わせ、浦田さんと塩谷さんを特定できたという次第です」

あらためて、2人に伝えたいことを聞いてみると、こんな温かいコメントが返ってきた。

「お二人のおかげで『伯方の塩』が老若男女を問わず、広く認知されました。今後もCMに使用していきます。今以上のお付き合いをさせてください」

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