「工場から緊急SOS…」床にくっつき身動きできない子猫を救助 ネズミ捕り用のトリモチにかかった…工場内になぜ猫が!?

渡辺 晴子 渡辺 晴子

「工場から緊急SOS…」

床にくっついたまま身動きが取れない子猫を工場内から保護した投稿がInstagramで注目を集めました。

投稿したのは、個人で猫の保護活動をしている「てらだりえ」さん(@nekomama122)。てらださんによると、9月下旬に工場から子猫の保護依頼が入ったとのこと。場所は、工場内の食堂。現場に急行したところ、子猫はビニール袋と一緒にもちのようなものが左半身にくっついた状態で全く動けなかったとか。

恐怖からか威嚇する気力は多少はあったものの、ぐったりしていたという子猫。とにかく体に付いたねばねばしたものを尻尾から毛が抜けないよう、ゆっくりと時間をかけて引きはがしたといいます。

子猫の体にくっついたもちのようなものについて「保護場所が食堂だったため、ネズミ捕り用のトリモチだったのではないかと思います」と、てらださん。床から引きはがした後は「病院に連れて行き、1時間ほどかけてベビーオイルで先生とスタッフさんがきれいにしてくれました。けがも特になく、少しほっとして。診察待ちの時には威嚇しながらもちゅーるをおいしそうに食べてくれたのでとってもお腹が空いていたようです」と振り返ります。

保護された子猫、食欲があったが突然の異変・・・! 

保護した子猫は当時生後2カ月ほど(推定)。てらださんのおうちにお迎えし、もちのようなものが付いた状態で発見されたことなどから「もち米」を連想し、子猫をあられちゃんと名付けました。当初は床から動けなくなる恐怖体験からかとにかくおびえていたというあられちゃん。ただ食欲があったおかげもあって、体力も回復していきました。しかし、10月に入り異変が起きたのです。

「突然高熱が出たんです。保護した猫たちが生活している部屋で、ケージに入れて隔離させて生活していたのですが…食欲も減り様子がおかしく病院に連れて行き、抗生物質を処方してもらいました。翌日も耳に小さな傷があったため再度病院に行ったところ、今度は耳に膿(うみ)がたまっていることが分かり、強めの抗生剤を投与してもらいました」

耳の傷が化膿して高熱が出たあられちゃんでしたが、徐々に薬が効いて熱は下がったそうです。ただ耳は化膿が治っても部分的に朽ちてしまう可能性があると獣医師から言われたました。とはいえ、今は体調も良くなり、元気いっぱいに家の中で動き回っているといいます。

「あられちゃんは膿の感染を考慮して、四畳半の人間の部屋で他の猫とは完全隔離で生活しています。隣の猫部屋が気になるのか、かもいによじ登りのぞこうとするなどおてんばを発揮。私や主人には、見つけたら最初は威嚇しますが、捕まえたらゴロゴロ音を出し甘えています」

工場の敷地内にたくさんの野良猫 ボランティアが40匹以上不妊去勢手術を実施

あられちゃんを保護した工場は敷地内に野良猫が増えてしまい、一昨年、工場に勤務している同級生からてらださんが相談を受けていました。そこで当時てらださんが所属していたボランティア団体でTNR(Trap/捕獲し、Neuter/不妊去勢手術を行い、Return/元の場所に戻すこと)活動を行い、40匹以上の不妊去勢手術を実施し工場内にリリース。工場で働く人たちにご飯とトイレのお世話をしてもらうことになったといいます。そして今回のあられちゃんの保護について、てらださんはこう話します。

「工場内には猫がたくさんいてTNR活動で保護しきれなかった猫が子猫を産むケースもあり、その中で親とはぐれたであろう乳飲み子は、工場から保護依頼を受け、20匹前後保育し譲渡対象としていました。おそらくあられちゃんも保護しきれなかった猫が繁殖のシーズンに出産した子猫ではないかと思います。

発見が平日だったことが何よりだったと思っています。これが長期休暇中であれば確実に亡くなっている命だったと思うとぞっとします。ネズミ捕り用のトリモチは、工場に限らず設置していることも多いと思いますが、こういうケースもあるのだと気に掛けていただければうれしいです。以前にも、同工場に納品されてきた大きい部品の中に子猫が入ったまま納品され、同じように保護依頼があったこともありました。さまざまなケースの迷い猫や事故に巻き込まれる猫がいると思うと心が痛みますが、こうやって活動を知ってもらうことで、少しでもそういう子が減れば幸いです」

また、身動きができないあられちゃんを撮影した理由について、てらださんは以下のように話してくれました。

「外猫や工場に出入りしている猫の行く末としてこういうケースがあり得るなと感じ、工場内へのお知らせはもちろん、インスタを通じて啓発・啓蒙をしようと思ったから。身動きが取れていないながら、威嚇する・鳴き声があるということも一秒を争うような命の危険まででは無いのでは?と判断した理由の1つでもあります。病院の先生に状況の説明をするためでもありましたが、こういう子が今後増えないでほしいという気持ちが強く、インスタに投稿しました」

       ◇  ◇

てらださんは、広島県三原市内で38匹の保護猫の世話をしながら、ご主人とともに里親探しをしているとのこと。また月に2、3回ほど広島県内で開催される譲渡会に参加したり、里親希望者を自宅に招き入れて保護猫の部屋を見てもらったりしているそうです。

工場内の猫たちについて「工場の皆さまも手術後にリリースした猫たちのお世話をしてくださっています。産んで放棄した乳飲み子たちに気づいてご連絡くださり、カテーテル授乳から哺乳瓶でのミルクで助かった命は数知れず。猫たちのために非常にご協力くださっている企業さんです。トリモチにかかったのは今回が初めてでしたが、とても迅速にご連絡いただけたので、あられちゃんも助かりました。このような会社が増えればと、思っております」と話してくれました。

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