東京都内の駅前にアクアマリンの海? 寄せては返す白い波に「すごい目のつけどころ!」

金井 かおる 金井 かおる

 日本を代表する水彩画家として知られる永山裕子さんが自身のツイッター(現X、@yuko_nagayama)に投稿した画像が注目を集めています。

 永山さんは9月下旬、「2年前の今日に撮った写真」として1枚の画像を投稿し、「このときめちゃくちゃ疲れてて、頭傾げて、この海見て泣きそうになったな」と当時の心境を振り返りました。写真一面にはアクアマリン色の海が広がっており、小さな白い波が幾重にも寄せている様子も分かります。世界中にファンのいる人気水彩画家をなぐさめたのは、どこの海なのかーー。

視点に驚き「さすがきれいな海を見つける」

 「この海、どこかと言うと…」

 永山さんは投稿の続きで場所を明かしました。

 「御徒町の駅前。水漏れしてる壁」

 海のように見えていたのは、ビルの外壁を伝う水漏れの跡でした。

 永山さんの答えを読んだユーザーからは「声出して笑いました」「これは名作」「どう見ても海にしか見えない」「さすがきれいな海を見つけると思ったら!」「すごい目のつけどころ!」などと、芸術家ならではの視点に感心する人が続出しています。

 永山さんはまいどなニュースの取材に対し、当時の心境について「ちょうど個展を終えたばかりで疲れ果てて空っぽな状態でした。友達との待ち合わせをしていたときに、白くなっている水漏れの部分を見て、それが滝のようで心が洗われるなとずっと眺めていました。救われた思いでした」と説明し、「そのうち横から見たらどんな感じかなぁと思って、首を傾げたら海みたいに見えたので、写真を撮って横にしたらまんま海でびっくりしました」と撮影の種明かしもしました。

 ユーザーの中には御徒町へ海を探しに行く人も現れました。永山さんは「2年前のことだし、もう壁はあんな感じじゃなくなってるだろうなと思い載せました。そしたら2人の方が見つけたようで、いまだに海だったので笑ってしまいました。見ず知らずの方が海を見に行き、写真撮影までしてくださったことがうれしかったです」とネットユーザーの行動力に驚いた様子でした。

 今後、修理が進んだら消えてしまうかもしれない御徒町の海。「最近の写真を見たら、もちろんですが、前より白さが増していて、その分、波が穏やかになっていました。海の様子もちょっと凪っぽくなっていたり、どんどん波のうねりが変わってきたりするんだろうなと思い、ちょっと楽しくなりました」(永山裕子さん)

 永山さんは以前にも、母親の介護に疲れていたとき、移動中に見たビニールシートと土嚢が白鳥の湖のように見え、心が洗われたことがあったそう。「疲れてるときはなんでもないものに普段気付かない美しさを感じます」(永山裕子さん)

 芸術の秋。街なかで偶然生まれたアートを楽しんでみては。

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