新刊は、猫も校正しました! 可愛い「確認の印」に「犯人の写真付きで売って」

はやかわ かな はやかわ かな

書籍などの印刷物を制作する際は、誤字や脱字、レイアウトなどをチェックするため、校正用に刷られた「ゲラ」と呼ばれる紙面を、著者や編集者らが確認する工程があります。

この日、作品社編集部 (@sakuhinsha_e)さんは10月刊行予定の新刊のゲラをチェックしていました。

「訳者から戻ってきたゲラ、猫さんも校正しようとしてくれたんでしょうか」

こんなつぶやきと共に作品社編集部 (@sakuhinsha_e)さんがX(旧:Twitter)に投稿したのは、「猫にかじられたゲラ」の写真。「ネコにかじられてしまいました。すみません」と翻訳者さんからのメッセージ付きの付箋が貼られています。

これは許しちゃう「かじり跡」

「これは許しちゃうやつ笑」
「猫語に訳して下さったのかな」
「猫『このページの訳はもう少し噛み砕いたら?』」
「ぜひ猫ちゃんのかじり跡つきで校了へ!」
「『犯人はこの子』って写真付きで売ってください(買う)」

こんな楽しいコメントが殺到したネコ校正さんは、翻訳家、北村京子さんの愛猫、アイムちゃん。15歳になる、ツンデレで食いしん坊な元保護猫の女の子です。そしてアイムちゃんがチェックしていたのは、タンジー・E・ホスキンズ著、北村京子訳『フット・ワーク 靴が教えるグローバリゼーションの真実』。作品社から10月刊行予定の新刊です。

「みなさん気をつけて校正をしてくださっているので、意外にこういったハプニングは少ないです。その意味でも今回はレアなケースかもしれません」と、作品社編集部さん。

そんなレアで可愛いかじり校正を披露してくれたアイムちゃんについて、作品社編集部さんを通して、飼い主である翻訳家の北村京子さんにお話を聞きました。

なぜゲラ校正に参加したのか…

ーーネコ校正さんの参加に気づかれたのはどんなタイミングでしたか?

「ゲラを読むのを中断し、お茶を入れようと席を立った数分の間にかじられてしまいました…。ネコが紙をかじるのは、普段は人に対して何か要求があるときだけなので、人がいない部屋で紙をかじったのはなぜなのか、今でも不思議です」

ーーアイムちゃんは普段からよく紙をかじるのですか?

「小さい頃から、早く起きろ、ごはんを出せなど、人間に何か要求がある時に手近にある紙をかじって細かくちぎるのが習慣になっています。Amazonのダンボールも細かくちぎれる歯を持っており、おかげでこれまで何十冊もの本の表紙や帯をビリビリにされてきました…。

ネコが紙をちぎる音はかなりうるさく、人間としてもやはりそれ以上ちぎられたくはないので、ネコの要求を聞くことになる場合が多く、ネコもそれをよくわかっているのだと思います。ちなみに、ネコは紙を歯で細かくちぎってはペッと吐き出すので、食べることはしません。そして、紙をかじる以外のいたずらはしません…」

◇ ◇

翻訳家という仕事柄、飼い主さんがいちばん困ることを熟知しているアイムちゃん。アイムちゃんもゲラ校正にひと役買った作品社の新刊『フット・ワーク 靴が教えるグローバリゼーションの真実』は、「年間242億足も生産されている『靴』を手がかりに、なぜその生産の過程が環境や人間に極めて深刻な害を及ぼしているかを解き明かし、解決に向けた提言を行う、〝足元〟から世界を考える1冊」(作品社の書籍紹介文より抜粋)という、にゃんとも興味深い作品です。

■作品社の公式サイト

■作品社の新刊『フットワーク』の著者、タンジー・E・ホスキンズ氏のインタビュー動画

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