近鉄が発表した子ども向けのお仕事体験ツアーが話題です。1泊2日のツアーで就寝時間は夜中の12時。4時間の仮眠で夕朝食ぬき、風呂なしで費用は3万円と、「ガチ」過ぎる内容に、SNSでは「子どもに現実をたたきつけるリアリティイベント」「思い付いた人、どうかしている」と大反響になっています。
ツアー名称は「きんてつ 駅のお仕事体験2日間in大和上市駅」。小学4~6年生が対象で、参加者は近鉄吉野線の大和上市駅の「一日駅長」となり、改札業務やホームでの列車監視、清掃業務など駅の業務を体験します。下市口駅と吉野駅にも移動し、夜間にしか見られない列車の開放作業や駅舎の仮眠体験、車両の運転台見学、最終と始発電車の見送りなど、普段は絶対にできない体験が味わえるのが最大の売りだそうです。
ところが、このイベント。1泊2日のスケジュールが子ども向けとは思えないほど本格的です。初日の集合時間は午後3時半ですが、就寝時間は夜中の12時。宿直室で4時間ほど仮眠した後、翌日午前4時半に起床して、またお昼まで業務が続きます。
夕朝食抜き、入浴なしで、参加費は子ども1人3万円。付き添いの大人は1人1万円。ちなみに体験しない子どもは5千円。
近鉄広報部に聞いてみました。
ーどうしてこんな企画を思い付いたんですか?
「担当者が昨年10月の新聞記事で、『子どもの頃に近鉄の駅員さんに駅に入れてもらった体験が忘れられない』というコラムを読んで、同じような体験をさせてあげたいと思ったのがきっかけです」
-それにしては本格的すぎません?
「スケジュールはあくまで、こんな体験ができる準備をしていますよ、ということです。強制はしません。眠くなったら寝て構いません」
ーどうして場所が大和上市駅?
「せっかくなら情緒がある駅でやろうと。大和上市駅は単線ですが、吉野川のほとりにあって、駅舎もとても風情があります。今は無人駅ですが、もともと宿泊施設もあったので、対応できると判断しました」
ー値段も強気ですね
「体験ではずっと駅員が傍について業務を行います。係員が常駐しない駅なので、その宿泊も含め、人件費が結構かかかっています。記念品代や往復運賃も含んでの値段設定とさせていただきました」
ー特にオススメの見どころは
「夜の駅では、列車の切り離し開放作業など日常では絶対見られない光景があります。忘れられない体験になると思います」
体験は2回あり、1回目が7月29~30日。2回目は8月19~20日。それぞれ一組限定でしたが、申し込み開始後5分で売り切れたそうです。
「大好評につき、また次回」という展開を期待したいところです。