野良猫が産んだ子猫 ケージに引きこもった怖がりさんが「遊ぼう」と先住猫を誘った日

渡辺 陽 渡辺 陽

くるみちゃん(4歳・メス)は、ある家の庭で野良猫が産んだ子だった。その家の人は子猫を保護したが飼うことはできず、友人がくるみちゃんを預かることになった。しかしなかなか里親を見つけられず、保護団体に託したという。

大阪府に住むNさんはまろんちゃんという保護猫を飼っていたが、共働きのため1匹で留守番させておくのもかわいそうだと思い、メスの黒猫を探していた。

「譲渡会で気に入った子がいたのですが、譲渡が決まってからオスだということが分かりました。ボランティアさんに『その子の姉妹がいるので見て欲しい』と言われ、うちに連れてきてもらいました。生後2ヶ月くらいでした」

姉妹の猫は2匹とも先住猫のまろんちゃんにそっくり。Nさんは、キャリーを開けた時に飛び出てきた方の猫を迎えることにした。名前は、まろんちゃんと繋がりがあるようにと、「木の実シリーズ」に由来したくるみちゃんにした。

超怖がりのビビり猫

くるみちゃんはキャリーから勢いよく飛び出てきたものの、しばらくはケージの猫ハウスにこもりっきりだった。初日はごはんを食べてトイレもしたが、人の姿を見るとケージの奥にヒューッと引っ込んでしまった。

先住猫のまろんちゃんは、初めてくるみちゃんのことを見た時、「ファー!」と雄叫びを上げて威嚇した。しかし、気になるようで毎日巡回。4日目くらいからはくるみちゃんがケージの隙間から手を出し、「遊ぼう」と誘うようになったという。くるみちゃんは、ケージのカーテンを開けっぱなしにすると、だんだん家の空気にも慣れてきたようだった。

「やっとケージから出てきて他の部屋に移動したので、後をついて行ったらくるみと鉢合わせ。よほど驚いたのかすごい声で鳴き、1メートルくらいジャンプしていました」

洗濯機の下に隠れてしまうこともあったくるみちゃん。今でも超怖がりで、後ろから触ると飛び跳ねることがあるし、来客があると絶対に出てこない。夜は冷蔵庫の上で何かに向かって鳴いているそうだ。

幸いくるみちゃんは猫が好き。まろんちゃんとも仲良くしている。Nさんにとって大切な家族だという。

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