工場内で発生したホコリがキャンプ用品として異例の大ヒットを記録している。これまでは100%廃棄してきたゴミだったが、今は1缶660円(税込み)で販売。インターネットで注文が殺到するなど、キャンプブームを追い風にして、まさに飛ぶように売れている。
愛媛県で今治タオルをつくるタオルメーカー「西染工」。この工場では、染色後のタオルを乾燥する際に大量の綿ボコリが発生。その量は1日で120リットルのごみ袋が2つ分ほどにもなっていたという。
綿ボコリは発火性が非常に高いため、機械にたまったホコリが電気系のショートなどで発生した火花で引火する火災が度々発生。工場内でも悩みの種になっていた。
そこで声を上げたのが同社の福岡友也さん。キャンプが趣味の福岡さんは「このホコリで焚き火が楽しめるのでは」と着火剤として売り出すことを思い付いた。
昨年の2月に「今治のホコリ」と題して販売を開始したところ、こちらもすぐに火が付き、今では発売当初の約20倍ほどの売上を誇る。ネット注文も殺到しており、1人3個までという購入制限が付けられた。
今治タオルが多彩な色で展開されていることもあり、「今治のホコリ」の色展開も多様なのが特徴だ。通常の着火剤にはないカラフルさや、石油系の素材ではなく天然素材であることなどが人気の理由という。
西染工はこの着火剤をきっかけに、アウトドアブランド「THE MAGIC HOUR」を立ち上げ、ぬらしても嫌な匂いがしにくいフェイスタオルや、シュラフをクッションにできる収納カバーなどを販売。
福岡さんは「商品はどれも地球環境への配慮をコンセプトにしている。これからも地球環境にやさしく、マジックアワーのように贅沢な時間を楽しめる商品をお届けしたい」としている。