本田望結の起用に不安を抱いた監督 「この映画、私が面白くしたるっ」 関西人&コメディエンヌのハートに火がついた

石井 隼人 石井 隼人

ジキル博士とハイド氏を凌駕しそうな豹変ぶり。藤竜也らいぶし銀俳優総出演の映画『それいけ!ゲートボールさくら組』(5月12日公開)で、子役出身の本田望結(18)がコメディエンヌとしてのセンスを炸裂させた。関西出身ならではのお笑いポテンシャルの高さをとくとご覧あれ。

ベテラン勢にべらんめえ口調

かつてのラグビー部時代の面々が60年ぶりに再集結。認知症になってしまった元マネジャー・サクラ(山口果林)の窮地を救うべく、ゲートボール大会に出場して優勝を目指す。ラグビー部の今は亡きメンバーの孫娘で、高校のゲートボール部部長・嶋田七海を本田が演じている。

七海はどこにでもいそうなおとなしい女子高生。しかしゲートボールクラブを握った瞬間、性格激変。織田桃次郎(藤竜也)らシニアたちをべらんめえ口調で叱咤激励し、ゲートボールのイロハをみっちりと叩きこんでいく。

年齢差は60歳以上という藤竜也らベテラン陣を向こうに、強烈な二面性を表現する本田。照れや躊躇が見えないからこそ爆笑を誘う。本田自身、闘志を燃やして撮影に臨んだ。「一観客としてコメディ作品が好きだからこそ、あと一歩何かが足りなくて笑えないというのが見えると凄く気になる。しかも野田孝則監督は私を恥ずかしがり屋さんだと思っていたらしく、キャスティングに不安があったそうです。それもあって『私が面白くしたるっ!』と燃えました」と目を輝かせる。

別人格の本田望結がいる

意識したのは落差と緩急。「フリとして最初の登場シーンでは恥ずかしがり屋さんでシャイなイメージで嶋田七海を演じて、ゲートボールのクラブを握った瞬間に180度性格・態度・言葉遣いが変わるというオチを意識。私は元々人を笑わせるのが好きで、お笑い番組も大好き。振り切って演じることができました」とお笑い偏差値の高さを余すところなく披露した。

女優そしてフィギュアスケーターの顔を持つからこそ、七海の豹変に自身を重ね合わせた。「女優業と同時にフィギュアスケートもやっていることから、皆さんからは“両立”や“二刀流”と言われますが、私にはその意識はなくて。別人格の本田望結が2人存在している感覚です。今日は女優のお仕事で女優モードですが、フィギュアの時はもっとおとなしいというかキリッとしています」と語る。

ダンディないい香りにロス

撮影自体は約2年前、リアル高校生時代の16歳の頃に行われたという。「顔つきも今よりだいぶ幼いので、藤さんら大先輩方から子供扱いならぬ孫扱いをされたらどうしようとドキドキしていましたが、そんなことは皆無。私を同じ俳優として対等に扱って演じやすい環境を作ってくださいました。それが本当にありがたかったです」とベテラン勢に感謝しきり。

大人の魅力にもハートを撃ち抜かれた。「皆さんからダンディないい香りがして、撮影中はバレないように鼻をクンクンさせていました。現場に行くたびに『望結ちゃんおはよ~!』と声をかけてくれたりして、その安心感の中でお芝居をさせてもらえました」と懐かしそうに振り返り「撮影が終わってからしばらくは“さくら組ロス”になったほど」と忘れられない貴重な経験として胸に刻んでいる。

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