子犬が川に転落 「引き上げて、体を温めてください!」連絡を受けたスタッフは叫んだ 優しい人たちの連携が命を救った

松田 義人 松田 義人

福岡を拠点に多くの犬猫の保護活動を行うチーム、わんにゃんレスキューはぴねす(以下、はぴねす)。同団体に地元からある相談が寄せられました。

「小学校近くの小さな山で、どうやら野犬が子犬2頭を産んだらしい。引き取ってもらえないか」と。さらに「保健所の職員がこの仔犬2頭を捕獲しようとしていたものの苦戦している」とも。

保護犬は多くお世話してきているはぴねすですが、しかし、捕獲の経験はほとんどありません。「何の道具も知恵もない我々に、2頭もの子犬を保護することはできるのだろうか」という不安を抱きつつも、まずはその子犬を探しに向かいました。

親犬を発見したものの逃げられてしまう

目撃情報があった付近へと向かうと、親犬とおぼしき薄茶色の野犬を確認しました。「あの親犬の行く先に2頭の仔犬がいるのかもしれない」と、スタッフは後をつけてみましたが、墓地の奥にある竹藪の中へと入って行ってしまいました。人が通れるような道はすぐになくなり、その先にはとても立ち入ることはできません。

コースを変え、親犬が去っていったエリアを見て回りましたが、やはり2頭の子犬の姿を確認することはできませんでした。

「子犬が川に落ちてしまっています」

やむを得ず諦めて帰ることにしたスタッフでしたが、後日、最初にこの話を持ちかけてくれた方から1本の電話が入りました。それは耳を疑うほど驚くものでした。

「探してもらっていた子犬が川に落ちてしまっています!」

野犬親子が身を寄せていたであろう場所のすぐそばには川があり、そこに落ちてしまったようです。幸いこの日の水は少なく、子犬はおぼれずにすんでいるとも。しかし、季節は冬です。冷たい水に浸かっている子犬の体力が奪われていくことは容易に想像できます。現場までスタッフの家から1時間弱かかります。そのため、連絡をくれた方にまず、子犬の引き上げをお願いしました。

「とにかく川から引き上げてください。そして、警察にご連絡をお願いします。体が冷えきっていることが考えられるため、濡れた毛はドライヤーで乾かし、まずは体を温めてあげてください」

地元のワンコ好きな方々が協力し無事救助

ほどなくして、再びスタッフの元へ連絡がありました。聞けば、地元のワンコ好きな方々が数人で協力し合い、網を使って無事に仔犬を救うことに成功したとのこと。さらに、その後すぐにドライヤーで仔犬の体を乾かし、温めてくれたそうです。

数時間後、その連絡をくれた方がその子犬をはぴねすへと連れてきてくれました。スタッフが家に連れ帰り、薬を滴下し、サークルの中で数日様子を見ることにしました。

保健所からの連絡「もう一頭を捕獲した」

川へ落ちていた子犬は生後2カ月くらいのメスでした。人になれていないこともあり臆病ですが、とてもおとなしい性格です。

さらに後日、このワンコの姉妹であるもう1頭を捕獲したと保健所から連絡がありました。すぐに迎えに行くと、本来は白いはずの毛は逃げ回ったせいか汚れて灰色になっていました。もちろん、スタッフはこの子も連れて帰りお風呂に入れてあげました。

2頭ともおっとりした性格

スタッフはこの姉妹にそれぞれ「ルミ」「エール」と名付けました。どちらも人間に対する警戒心はまだまだあるものの、おっとりした性格です。

スタッフの家にいる先住犬は、このルミとエールと早く遊びたがっていますが、心を開ききれていない2頭です。慎重に接する必要があるため、当面の間ルミとエールはケージの中で過ごさせ、様子を見ながら世話することにしました。

川に落ちた小さな命、保健所に捕獲された小さな命でしたが、無事保護され心あるはぴねすのスタッフの家にいったん引き取られました。今後ルミとエールに愛情を注いでくれる優しい里親さんが見つかることを願うばかりです。

わんにゃんレスキューはぴねす
http://happines-rescue.com/

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