秘密結社「ねこねこネットワーク」をご存知でしょうか。通称「NNN」といい、猫と暮らしたいと思っている人間のもとへ、猫を隠密裏に送り込む組織。この名称は、掲示板サイト2ちゃんねる(現、5ちゃんねる)が発祥といわれています。
たかがインターネット上での戯れと言うなかれ。このNNNから猫を送り込まれたとしか思えないような出来事は、日本中で起きているのです。
「かわいい」と思っただけで子猫が…
埼玉県で暮らすG家も、猫を送り込まれた家庭のひとつ。それまでお母さんは、職場で生まれた野良猫の子猫を「かわいい」と思っていただけでした。密かに1匹、家の子にしたいとも思っていましたが、娘にアレルギーがあるため、諦めていたのです。
猫は外で可愛がるもの、そう思っていたのは2022年4月22日午前5時まででした。お母さんはそろそろ起きないと、とうつらうつらしていると、玄関先から子猫のけたたましい鳴き声が聞こえるではありませんか。
「ここをあけてください!」
そう言っているかのよう。ビックリしたお母さんは慌てて玄関扉を開けると、そこにいたのは生後3カ月ほどの子猫。扉が開く音に少し驚いて立ち上がっていましたが、すぐ気を取り直しキチンと座ります。それからまた鳴くんです。
「わたしがきましたよー」
お母さんが「どうしたの?」と声をかけると、嬉しそうにトコトコトコと寄ってきました。それはお母さんが抱っこしてくれると見越しての行動のよう。お母さんは思わず抱っこしてしまいました。
情が移らないようにしないと
さて、お母さんは子猫を可愛いと思うものの、困りました。こんなに人懐っこい子が野良猫であるはずがない。ひとまず動物病院へ連れていき、健康診断とノミ取りをしてもらいます。その後、ポスターを作成。近所の掲示板に貼らせてもらいました。
「迷い猫を預かっています」
娘には、飼い主が現れるまで我慢してほしいとお願いし、抗アレルギー剤を服用させます。娘はというと、アレルギーがあるものの猫は大好き。子猫が家にいることに大喜び。普段はツンツンしている大学生のお兄ちゃんも、何だか嬉しそう。
しかし、1週間経っても飼い主は現れません。そのままゴールデンウイークに突入。普段なら、家族4人そろって帰省をしていますが、子猫はどうしよう…。仕方なく、お母さんが家に残り子猫のお世話をします。
誰もいない家の中、お母さんと子猫だけ。朝、起きたら「おはよう」と声をかけ、子猫もまた「にゃー」とご挨拶。これが、バツグンに可愛いんです。つい抱っこしちゃう。本当の飼い主がいるかもしれないから、情が移らないようにしたいのに…。
うちの子にする!命名「コハク」
ゴールデンウイークも終わり、お母さんは仕事に行かなくてはなりません。子猫はリビングで過ごしてもらうようにします。余分な物は、家族が帰省中に撤去しました。終業後は飛ぶように家へ帰り、子猫と過ごす。
1カ月も経つと、家族の輪の中に子猫がいて当たり前となっていたのです。当初、子猫を保護することに反対していたお父さんも、子猫がいない生活を考えられなくなっています。抱っこをしていると、子どもたちが赤ちゃんだったころを思い出すよう。本当に幸せな気持ちになるんです。
家族会議の結果、子猫を家の子にすることが決定。名前は「コハク」になりました。これはお母さんがTwitterでフォローしている猫アカウントの名前からなんです。あの可愛い子にあやかりたいと思いました。
さて、正式にG家の子なったコハクちゃんはというと、今まで以上に元気いっぱい!カーテンは上るものだし、ランドセルは入るもの。娘と追いかけっこをして遊んだあとは、お兄ちゃんのベッドの上で休憩。お母さんがお風呂に入ったら、湯船の蓋の上でのんびり。お父さんのお膝の上もお気に入りの場所なんです。
気付けば、娘は抗アレルギー剤を飲まなくなっていました。アレルギー症状が出なくなっていたのです。コハクちゃんのおかげかな?
毎日を大事に過ごしたい
このように、まんまとNNNの策略にはまったG家。もう猫がいない生活には戻れません。家はスッキリと片付き、家中にあふれるのは笑顔と笑い声ばかり。これこそが、NNNの真の目的なのでしょう。
お母さんは微笑みながら言います。
「コハクとの毎日を大事に過ごしたいです」
コハクちゃんとの暮らしの中で保護猫活動とも出会い、少しずつ寄付も始めたG家。これでまた救われる猫もいるはず。これも、NNNの目的?
きっとあなたのそばにも、NNNが現れるでしょう。NNNにロックオンされたら最後、幸せしかない日々がやってきます。お気を付けを。
◇ ◇
▽飼い主さん(コハク日記さん)
https://twitter.com/lovekohaku_422