【大雪】「トイレ、ケイタイ充電でお困りでしたら…」深夜に帰宅難民であふれた山科駅前、串カツ屋が店を開放→数十人が夜を明かす 当日の様子を店主に聞いた

黒川 裕生 黒川 裕生

24日夕方から25日未明にかけて降った大雪の影響で立ち往生となる電車が続出し、多くの乗客が長時間、車内に閉じ込められたJR京都線や琵琶湖線。特に山科駅は、未明に解放されて徒歩でたどり着いた乗客で混雑し、地下通路に一時避難したり、タクシー乗り場に列をつくったりと、一時混乱していたことが報じられています。山科駅前で営業する串カツとおでんの店「串楽 山科店」は、帰宅できなくなった人たちのために閉店後の座席や電源を無償で提供。始発まで数十人が夜を明かしたそうです。店主の男性に、当日の様子を聞きました。

「大雪でお困りの方 朝まで居りますので トイレ、ケイタイ充電でお困りでしたら遠慮なくご利用下さい」

同店が、店前に手書きの貼り紙を掲示したのはちょうど日付が25日に変わった午前0時頃でした。24日の営業を終え、店を閉めたのが23時過ぎ。男性は1人で片づけをしながら、目の前の駅周辺が尋常ではない雰囲気になっていることに気がついたといいます。

「バスも電車も止まっていて、タクシー乗り場に大行列ができていたんです。夜の猛吹雪の中、小学生くらいの子供や年配の人の姿も見えたので、これは大変だと思って、店を避難場所として開放することにしました」

急いで貼り紙を出すと、5分もしないうちに1人目が来店。その後も行き場を失って憔悴した様子の人たちが続々と訪れ、店内はすぐ満席状態になりました。

「風営法(※深夜の酒類提供飲食店営業などにも適用される)の関係でこの時間に飲食物を出すことはできませんでしたが、皆さん一様にぐったりしていて、テーブルに突っ伏して仮眠を取る方もいらっしゃいました。何時間も電車に閉じ込められて、本当に疲れ切っていたんだと思います」

「そんな状況でも、足りない席や電源を譲り合う皆さんの優しさには感動しました。少しでも明るい方が励まされる人もいるだろうと思い、表の照明は一晩中全開に。朝の5時になっても、ようやく電車から出られて駅に着いたという人が後を絶たず、店は結局午前8時くらいまで開けていました」

SNSには、この店で一晩過ごしたと思われる人による「山科駅に現れた神のおかげで始発まで暖かく過ごせました。ありがとうございました!」「いずれ恩返しにきます!」といった投稿も見られました。

取材に対し、店主の男性は「駅前ということもあって、当店がまた災害時などに必要とされることがあるかもしれません。非常食や水、バッテリーなど、日頃の備えをあらためて考え直すきっかけになりました」と話していました。

【串楽 山科店】https://kusirakuyamasina.owst.jp/

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