漫画「ONE PIECE(ワンピース)」に登場する悪魔の実にそっくりなメロンが、SNSをにぎわせている。食べると特殊な能力を得られる物語のキーアイテムで、主人公・ルフィが食べてゴム人間になった「ゴムゴムの実」と同じ唐草模様。作ったのは、農業高校に通う3年生の男子生徒(18)だ。「実は…メロンの網目を操作できる悪魔の実の能力者です」と笑みを浮かべる。
メロン栽培は今年4月、学校の課題研究で始めたという。アイデアのきっかけは、お祝いやお見舞いでメロンに文字や柄を入れる「デザインメロン」。ちょうど、友人にワンピースの漫画全巻を借りて読み、ワンピースへの熱が高まっていた頃だった。「リアルなゴムゴムの実を作れたら面白い」とテーマに決めた。
メロンの皮は、成長過程で肥大するにつれて表面にひびが入っていく。網目は、ひびを修復しようとする力が繰り返し働いて発生するという。デザインメロンはこの仕組みを活用。成長中の小さな実を人為的に傷つけることで、大きくなった時に網目に模様が入るという。絵柄の描き方はいろいろあるそうだが、男子生徒は、氷を割る時に使うアイスピックや彫刻刀を使った。
メロンに絵柄を入れたのは7月ごろ。唐草模様が均等な大きさになるように、事前に絵柄の大きさをかたどった紙でイメージを膨らませて、いざ一発勝負だ。枝が折れないように、手で実を優しく包みつつ、表面を2~3ミリの深さに掘っていく。手元が安定せず、姿勢もつらい。それでも模様の大きさや形にずれがないか確認しながら慎重に施し、約5時間かけて完成させた。翌日からの経過観察は「毎日少しずつ、浮き上がってくる模様を見るのがうれしかった」と喜ぶ。
メロンは8月上旬に収穫し、同じくワンピースを愛する後輩にプレゼント。気になるお味は「普通のおいしいメロンだった」とか。
現在は、主人公・ルフィの義理の兄で、炎を自在に操れるエースが食べた「メラメラの実」のほか、全身が煙になれる「モクモクの実」の模様のメロンを生育中。ツイッターに投稿すると、返信欄には漫画上の金銭単位を使って「何ベリーで売ってくれますか?」「作者の尾田栄一郎先生に見てほしい」などの声が相次いだといい、男子生徒は「高校生なので売れないけれど、悪魔の実の能力者として技術を上げられるように頑張っていきたい」と意気込んでいる。