救急隊のコンビニ飯にご理解を…医療逼迫で激務の消防局によるお願い 「元気で健康的に働ける環境を」と応援の声続々

塩屋 薫 塩屋 薫

「救急隊に食事の時間を!」とさいたま市消防局(@Saitama_Shobo)が投稿した内容に、15万以上の「いいね」がつき、「ゆっくりご飯も食べられなくて大変だ…お疲れ様です」など、多くの感謝の声が寄せられています。担当者に食事状況や反響について、話を聞きました。

その内容とは「救急出場が続くと、救急隊が消防署に帰れない時があります。そんな時は、出場できる体制を取りつつ、救急隊がコンビニ等で飲食物を購入し食事をする事がありますので、ご理解をお願い致します」。

リプ欄には「コンビニに止まってたら、きっと娘は大喜びするだろうなぁ。そしたら救急隊員の方がご飯を食べるんだよって話せるし、食事をする大切さを教えられます!」「コンビニに限らず、普通に飲食店に入って楽しくおいしくご飯食べたりしてもいいと思います。みんなの命を支えている皆さんこそが元気で健康的に働ける環境でいてくださらないと」など、応援する声が続々。

また「救急隊だって人間、食事は大事!」「ここまで広報しないと休めない社会環境…」「コンビニに寄ることを問題視してはいけない」などと食事状況を心配する声も。

また、「ウチはゴミ収集だけど、持ち合わせの水筒が空になったので、自販機で買ったら早速「サボってる!」という通報が数件来たよ! 飲み物くらい飲ませてくれよ!」と、咎められた経験を語る人もいました。

今回のさいたま市消防局救急課の担当者に意図を尋ねると―。

「食事をとれていない状況だった…」

――今回の投稿をしたきっかけは?

投稿をする数日前から、救急隊の連続出場が続いていまして。以前から昼食を夜に食べたという事はありましたが、最近は全30隊が食事をとれていない逼迫(ひっぱく)した状況でしたので、もし制服姿の隊員らを見かけた時にはご理解いただければとの思いがありました。これまでに何か苦情などが寄せられたという訳ではないです。

――逼迫した状況が続いているのですね…。

6月下旬から熱中症やコロナの波が重なり、病床が埋まっているので、受け入れ病院を探すために1件にかかる時間も長くなっています。これまで出場は1日平均で約180件でしたが、最近は1日で300件ほど。1隊が約10件の対応にあたる事になり、出場から戻ると記録の書類作りもしますので。

――投稿への反響についていかがですか?

ここまで多数のお声をいただき、驚いています。コンビニと言っても、基本的には救急車は路面店には寄らず、医療機関に併設されている店舗や売店で飲食物を購入しています。でも今回の投稿で、コンビニや飲食店での食事について勧めてくださるお声もあるのだなあと。

「救急隊にも食事や休息、仮眠が必要です」

――普段の食事状況は、外食などできない状況ですよね?

そうですね。常に出場体制を整えていますので。消防局に戻れない時は、車内や医療機関の休憩所などで食べる事もあります。

――すぐ出場できるように心がけている事はありますか?

一般の方が火を使ったりする食事時間帯とはずらして、昼食は12時前、夕食は5時ごろなど早めに済ませる時もあります。あとは体調管理のために生ものは避けたり。指令を受ければすぐ中断するので、出場から戻ってのびのびになった麺を食べた事もありましたよ。

――出場を常に意識した生活リズム…大変ですね。

シャワー中に指令を受けた場合は、乾いていない髪のまま現場へ行った事もあります。

――改めまして、救急隊について一般の方に留意してほしい事は?

救急隊の適正利用について、ご自身で受診に行かれるのは有り難いですが、緊急性がなくても重症の場合もあり、個人での判断は難しいというお声をよくいただきます。「これは必要だ」と現場の方が感じたのなら、市民・国民のみなさんの「不安」を精神面でも取り除くことが私たちの仕事だと思っております。そして、救急隊にも食事や休息、仮眠が必要ですので、ご協力・ご理解いただけましたら幸いです。

◇ ◇

医療逼迫のなか「今回の投稿に寄せられた感謝のお言葉は、他の市町村を含め隊員たちの励みになるのでは」と担当者。また、印象的なエピソードとして「任務を終えて消防局へ戻る途中、救急車をみつけたお子さんが手を振ってくれて、うれしかったです」と教えてくれました。

さいたま市消防局Twitter https://twitter.com/Saitama_Shobo
さいたま市公式サイト https://www.city.saitama.jp/

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