「別れても好きな人」都内を歌詞の通りに歩こうとして断念、元カップルは健脚すぎると話題 昭和歌謡デュエットの名曲

金井 かおる 金井 かおる

 「♪別れた人に会った 別れた渋谷で会った」ーーロス・インディオス&シルヴィアが歌う昭和歌謡の名曲「別れても好きな人」。ある雨の夜、かつての恋人同士が東京・渋谷で再会し「やっぱり忘れられない」と未練をにじませ原宿、赤坂、高輪、乃木坂とさまよう様子が描かれます。歌詞に登場する地名の通りにウォーキング計画を立て、断念した人がいます。

「一晩でこの距離はさすがにおかしい」

 漫画家の弓長九天さんは620日、自身のTwitter @yumilimi9)を更新。地図とともに「『別れても好きな人』の歌詞に従って渋谷から歩いてみようとして、雨の夜中に傘をささずにだいたい16km程度、途中で二回くらいグラス傾けたりすると四時間半以上歩きっぱなしツアーだと判明して断念しました」と投稿しました。投稿は拡散し「笑ったー」「こういうの大好き」「面白い」「やってみたい」「結構歩きますね笑」「スニーカーじゃないときつい距離」など、さまざまな感想が寄せられています。

 (地図:Googleマップ)

  「昔からの歌謡曲好きと散歩好きの趣味が煮詰まった末のウォーキング計画を、ツイート用にさらに濃縮したものでした」という弓長さんに話を聞きました。

──歌詞の中の地名をたどろうと思いついたきっかけは。

 「あちこち歩いて行くことが多く、西国分寺から大宮、待乳山本龍院から水道橋などよく歩いていました。数年前に『そういえばあの歌のコースは歩いたことがなかった』と気付き、紙の地図で概算したところ相当な道のりになるのが分かりました。最近になってGoogleマップで再確認したら全行程でだいたい16kmと判明した感じです」

──歌詞の中の健脚な元カップルに対しどんな感情を抱かれましたか。

 「歌の中に『一夜の 恋のいたずら』というフレーズがあり、一晩の出来事と考えられます。一晩でこの距離はさすがにおかしい。夜中にウロウロしすぎだろとは思いますけど、ああいう状況ならテンション上がってウロウロする気持ちも分らなくはないです」

──Twitter上で7万を超えるいいねがつきました。

 「『昭和歌謡が好きな人から、40件くらいは反応があるかな』と思ってただけなので完全に想定外でした。『こういう検証ものは大好きです』という反応は多かったので、シンプルに『すでにある表現を、もう少し突っ込んで知りたい』という知識欲が刺激されるのかも知れません。あの歌は実はみたいなヘンな知識は、知る楽しみと言いふらす楽しみの両方がありますし、あと『お前の考察はここが甘い』って突っ込む楽しみもあるだろうと思います。無料で安全でワクワクできますから、自分の意見に拘泥しなければ、案外いい娯楽かも知れません」

──面白いなと思った反応は。

 「欧陽菲菲の『雨の御堂筋』も検証してほしいというリクエストが結構あり、これが意外と言えば意外でした。あの歌は『南へ歩く』と言いながら、登場する地名が南、北、南、北という感じで前後するのは興味深いですね。単純に子供の頃から昭和の歌謡曲が好きだったこともあり、個人的には『大阪しぐれ』『大阪ラプソディー』『東京ラプソディー』あたりのリクエストが来てくれないかなと思ったんですが、これは見た限りではありませんでしたね。多少寂しい気がします」

 「あともう一つ。『最近、心身ともに疲れて笑うことができなかったが、久しぶりに自然に笑えた』『このところプレッシャーに押しつぶされそうだったがちょっと楽になった』などの返信があり、赤の他人なのに心配になる反面、このツイートで気持ちが楽になる人がいたんなら、多少は人様のためにいいことができたかも知れないなどとは思った次第です

実はカバー曲、原曲では別の地名も

 作詞作曲を手がけたのは「3年目の浮気」や「夏のお嬢さん」(作曲)で知られる佐々木勉さん。残念ながら佐々木さんは19853月に亡くなられているため、歌詞の真相をお伺いすることはできませんでした。

 同曲はもともとは1969年に松平ケメ子、パープル・シャドウズがそれぞれリリース。10年後の1979年にロス・インディオス&シルヴィアがカバーし大ヒットしました。

 原曲の歌詞は「傘もささずに青山」「歩きたいのよ狸穴(まみあな)」でしたが、カバー時に青山は原宿に、狸穴は高輪に変わりました。地名が変更したことで2人が歩いた距離は約5kmほど延びたことになります。時代に合わせより人気の地名に変わったという説もありますが、健脚な2人だからこその遠回りだったのかもしれません。

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